6 ページ7
3日間の連戦を終え、飛行機で本拠地へと戻る事となった。
スーツを着用して、阿瀬は機内の窓際で目を瞑る。
離陸前の機内はまだ騒がしくて、時折小さな子供の愛らしい話し声も聞こえてきていた。
そんな声ですら阿瀬の癒しとなる。
目を瞑りながら、飛行機で帰る人達は誰だったか、隣は誰が座るんだったかと考えてしまい、離陸前に眠りにつく事が出来ずにいた。
「乗るの早いなあ。」
聞き慣れた声がしたと思えば、右隣の席に人が腰をかける。
誰かを確認する為、瞳をパチッと開けて隣へと顔を向けた。
「福也さんか。」
「なに、俺じゃ不満？」
「いやあ？そんな事無いですよ。」
目尻にシワを寄せて笑いながら言う山��に、阿瀬はくつくつと笑いながら窓の方へと顔を向ける。左側へと体を傾け、コツンと壁に頭を寄せた。
" 寝るんで。 " と言わんばかりに目を瞑る阿瀬をじっと見つめる山��は、飽きを知らないのか本格的に眠りにつくまで殆ど目を離さず眺めていた。
球場そんな事をしていれば、絶対に誰かが見ており後で茶化されるのだが、ここは飛行機だ。
一般人も多くおり、3人掛けの席では山��以外に誰も見ていない。
寝息を立て始めた阿瀬の頬に触れ、髪に触れ、手を取って動かしても目を覚ます事が無いと確認した山��は、彼の頭を自身の方へと寄せた。
トン、と山��の肩に阿瀬の頭が触れると、彼は満足そうに小さく微笑む。
「わ、まじか。俺この2人の所に座らないといけないんすか。」
「どういう意味なの。」
空いていた通路側の席に腰掛ける中川に、山��は楽しげに笑った。
もうそろそろ離陸するという事で、子供の期待する声は更に大きくなって、飛行機内には暖かい微笑ましい感情に包まれる。
中川は窓際に座る阿瀬に目をやった後、山��の方へと視線を向けて
「相変わらずっすね〜。」
とほんの少し呆れた様に、小さく笑った。
「寝てるしね。向こうの壁だと頭も痛いだろうし。」
「自分のエゴのくせに。」
頬にえくぼを作って口角をあげる中川に、山��は少しの沈黙の後に
「まあね。」
と一言だけ返事をして、阿瀬の黒髪に頬を寄せる。
寝息が耳元で聞こえ、愛らしさが増した。そのまま山��も目を瞑り、少しでも疲れを取る為に眠りについた。
静かになった山��と心地好さそうに眠り続ける阿瀬を一瞥した後、中川も背もたれに体重を預けて肘置きに肘を乗せ、頬杖をついて目を瞑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
