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小、中、高と毎日キラキラした野球生活を送っていた。
誰よりも小さい身長ながら、脚の速さを研き、守備を研き、肩を研いて皆との差を埋めて、笑顔を絶やさなかった。
高卒で育成指名された阿瀬は、支配下登録を掴み取る為に汗水流して必死に野球にしがみつく。
そんな阿瀬が心置き無く話せるのは山本と山崎だった。
何度もバッテリーを組み、時には阿瀬が2人の投球に口を出す。ああした方がいい、こうした方がいい、と。
捕手として投手の事もしっかりと観察し、的確なアドバイスをする阿瀬を彼らも信頼していた。
人当たりが良く、いつも笑顔で話がしやすい阿瀬だが、そんな彼にも苦手なものはあった。
絶叫系アトラクションに、運転に、過保護な人。
どうしても、克服が出来なかったのだ。
「お前さあ、楽しい？」
まだ、一軍登録がされて数ヶ月しか経っていない頃に山本は阿瀬に問うた。
しゃがみこんで、自身のミットやグラブを磨いていた阿瀬は頭上で聞こえた声に顔を上げる。
小さな顔が、不思議そうに山本を見つめる。
「何に対して？」
フェンスに凭れ掛かる山本は、胸の前で腕を組んで手が止まっている阿瀬をじっと見下ろした。
「人間関係。」
彼の言葉をすぐ理解する。
薄い下唇を噛んで、ほんの少し動揺した様に山本から視線を外した。
「皆いい人じゃん、楽しいよ。」
俯き、またもミットを磨き始める。
もう磨く場所なんか無い筈なのに、何を取り繕う様に必死になっているのか。
打撃音や掛け声が響くドームだが、2人の空間だけはシンと静まり返り、互いの呼吸音だけが聞こえていた。
普段から笑顔で冷静な阿瀬が、ここまで動揺している事に山本も内心驚いていた。
「…俺らに話せないの。ずっと一緒やったのに。今まで、お互いに何でも話してきたのに。」
阿瀬の隣に膝を抱えてしゃがみ込んだ山本に、彼は口を閉ざす。
横顔を覗き込むと、
「そーいちも呼んで、聞いてもらおうかな。」
と、少しの意地悪を言った。
「…そんなに嫌な奴だっけ。」
「ふふ、俺はただ心配してるだけ。」
まるで意地悪な兄と、それにむかっ腹を立てる弟の様だ。
仲がいいあまり、普段から阿瀬と距離が近い山本に嫉妬する人物が、離れた場所から隠れてじっと見つめていた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
