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観覧車がある綺麗な球場に、阿瀬は歩みを止める。
薄い青とオレンジが入り交じった空を背景にした観覧車はよく映える。グラブ片手に、幼少期に遊園地に遊びに行った記憶を蘇らせた。
「A？おーい。」
同じ外野守備に着いて練習中だった中川が阿瀬を呼ぶ。
我に返った阿瀬は、ワンテンポ遅れて彼の方を振り返って返事をした。
次第にオレンジ色に染まっていく球場で、阿瀬の表情も良く見えると共にどこか儚さも感じ取れる。
「観覧車乗りたいんや？」
「あっ、観覧車…。いや、綺麗だなーって思って。子供の頃遊園地で乗ったなって、思い出して。」
阿瀬の言葉に、中川は瞳を細めて口角を上げる。
彼の笑顔は何度見てもつられてしまい、今回もまた阿瀬の顔にも笑みが浮かんだ。
「今度俺とあれ乗ろ。」
「僕らも乗れるんすか？！」
「分からんけど、時間あったら乗れるんちゃう？」
観覧車をグラブで示す彼に、阿瀬は思わず大きな声で問うた。
彼の返答に、必死に感情を表に出さないようにと冷静を保とうとするが、阿瀬の表情は夢見る少年の様にワクワクが止められないでいた。
そんな阿瀬を見て彼はまたも「んふふ。」と口角を上げる。
「好きなん？観覧車。」
「好きです。観覧車とか、タワーとか。…高い所が好きなんです。」
「へえー、意外や。」
「高い所が好きってだけで、ジェットコースターとかバンジージャンプとか、恐怖を伴うものは嫌いなんですけどね。」
眉を下げてはにかんだ阿瀬の頭を撫でた中川は、その手を背中に回してトン、と前に押す。
守備練習が阿瀬の番に回ってきたのだ。打ち上げられる高い高い打球を追って、必死に駆ける。かなり前方だったが、ダイビングキャッチを試みて成功させた。
阿瀬自身、取れるとは思っていなかったのか正座して座り込んだままグラブの中を見て驚き、思わず笑みを零す。
返球した阿瀬は、そそくさと中川の元へと戻った。
彼は嬉しそうにしている阿瀬に、グラブを叩いて拍手を送った。
外野で楽しそうに会話をする中川と阿瀬を、山��はストレッチをしながらじっと見つめている。先程から同じメニューを繰り返しており、上の空のようだ。
「さちさん、それ何回してんすか。」
山本から声を掛けられてハッと我に返った。
見下ろしてくる彼を見上げて照れ臭そうに笑った後、立ち上がった山��は腕を真上にグッと伸ばす。
「はあ。ぼーっとしてた。」
息を吐き、一気に脱力した山��は山本に声を掛けてくれた礼を述べた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
