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寮ではあまり人を外から呼ばない。
基本的に寮内の選手達と仲良く、部屋を行ったり来たりとまるで修学旅行の様な生活をする。
いつの間にかセミの声は聞こえなくなっており、肌寒い日が続くようになっていた。
冷房なんか付ける時期はとうに過ぎ、電気ストーブが必要となってきた季節。
この日はオフだった。
宮城と紅林は2人仲良く外に遊びに行っており、名前を呼んでも当たり前だが応答は無い。
遮光カーテンを締め切った薄暗い部屋はひんやりとしており、肌をさする程には寒さを感じていた。
冷たいフローリングを裸足で歩き、棚からカッターナイフを取り出した。勢い良く開けたからか、引き出しの中に入っていた文具が音を立ててぶつかる。
外は雀が鳴き、車の喧騒が聞こえ、楽しげな通行人の声も届く。
そんな外の世界に目もくれず、阿瀬は白い長袖シャツの袖を捲り上げ、左手首に長く出したカッターの刃をそっと当てた。
氷のように冷たい刃の先をグッと押し付けると、プツッと皮膚が切れて少しだけ刃が埋まる。
寒いせいで麻痺を起こしているのか、あまり痛みを感じない。
そのまま横にスライドさせると、細い細い切り傷から赤い血が水滴のように滲み出てきた。真っ赤で、暖かい血液を感じては憂鬱になる。
テーブルに乗せていた左腕は真っ赤に染まり、白いテーブルには小さな血溜まりが出来ていた。
横に、縦に。力任せに、ただ一心でカッターナイフで手首を切り付ける。
いつの間にか刃も切れず、時折皮膚を引っ張って引き裂いた。
血腥い臭いが立ち込める室内で、阿瀬は右手を使って携帯を手に取った。
" 寮 "
" 手首切ってしまった "
単語と、繋がりの無い文章を送信する。
そのままベッドに携帯を放ると、阿瀬は机に突っ伏して目を瞑る。
1時間もしないうちに、部屋の扉が大きな音を立てて叩かれる。
返事をしないでいれば、鍵がガチャリと回され、扉が開いた。鍵を借りたであろう山��が急いで室内へと足を踏み入れ、机に突っ伏したままの阿瀬へ視線を落として息を飲む。
「A…！」
背後ではゆっくりと扉が閉まり、パタンと小さな音を立てた。
山��は急いで阿瀬の隣へしゃがみ、ズタズタに切れてしまった手首を自身の脱いだ上着で押さえつけて止血を試みる。
「なにしてんの？！なんで、腕ッ…。」
呼吸だけを繰り返す阿瀬を見つめながら、山��は声を荒らげた。
それでも何も話さない阿瀬の背中を1度擦った後、タオルをタンスから取り出し、傷口に当てて強く縛った。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
