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山崎を見つめる阿瀬の瞳はビー玉のように綺麗だった。
呼吸が浅く、山崎は安心させる為に手を握り阿瀬の腿を擦る。
「全部言え、嫌なん全部吐いたがええ。楽になるで。」
まるで子供を諭しているかのような山崎の言葉に、阿瀬の表情がほんの少し歪んだ。先程まで話し声が響いてきたロッカールームは静まり返り、数人のチームメイトは2人の会話に耳を傾ける。
「………毎日、ドームに向かう足が重いねん。」
椅子の背もたれに体を預けること無く、猫背気味に俯いて口を開く。
「起きるのもしんどい、何をするにしても、もう、なんも気力湧かへん…もう嫌や…。」
背骨の浮き出る阿瀬の背中。片手でそっと撫でながら、山崎は苦しさを中和させようと相槌を打ち、時折同調する。
以前から、愚痴とは言えないちょっとした不満を零す事はあったが、ここまで衰弱し、弱音を吐く阿瀬は皆初めて見ただろう。
同期入団で仲のいい山崎が初めて見るのだから。
「…死ぬなよ。お前、死んだらあかんからな。」
山崎は、覇気の無い阿瀬の表情を見て最悪な結末が見えた様な気がした。
華奢な体に腕を回し、強く抱き締めながら念を押す。死ぬなんて考えが過ぎっても踏みとどまれる様に、今この時の出来事を記憶させるように阿瀬に言い聞かせる。
山崎の頼りになる肩に顎を乗せ、頬を寄せながら大きな瞳から大粒の涙が数滴零れた。
声を上げて泣く訳でもない、悔しそうに声を抑えて泣くわけでもない。
子役が、ただただ涙を零すよう指摘されたかのように、阿瀬は溢れ出る涙を流していた。落ちていく涙は、山崎の白いシャツにシミになる。
山崎の背中を、阿瀬の泣き顔をじっと見つめていた宗の心までも締め付けられる。
毎日が楽しそうで、誰よりも早くドームに足を運んでいた阿瀬が弱りきって、何に対してもやる気が出ないと言う。
可哀想、なんて感情よりもまず、誰の心にも最初に浮かんだのは
" 死んでしまいそう。"
だった。
「……返事は。なんかあったら、絶対俺らを頼る事。俺も、由伸も聞くから。話せへんなら、宮城とかにも言ったらええやん。同じ寮住居やねんから、な。」
山崎の言葉に小さく頷く阿瀬は赤子のようで、愛らしさと不憫さを増幅させる。
「…頑張る。」
涙声で山崎に告げた。まだ地に足つけて野球に打ち込むようだ。
前を向いた阿瀬の言葉に山崎も笑みを浮かべ、強く強く頭を撫でた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
