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笑顔はある程度の感情を仮面のように隠せる。
口角を上げて目を細めて、時折小さな声で笑い声を零していれば、余程観察眼のある人がいない限りバレやしない。
本当に、山��には全くと言っていいほど。
面白いくらいにバレない。
山本らに不満を零したとしても、山��本人の目の前では笑顔でいることが多かった。
何をされても、何を言われても楽しげに声を上げて笑って、先輩である彼を立てる。
震えた足や手も、山��から離れればすぐに収まった。
コーチに呼ばれて離れて行った彼に胸を撫で下ろしながら、ダグアウト付近に歩みを進める。少しでも彼から距離を取った。
空気を循環させる為に置かれているであろう、オレンジ色の羽をした大きな業務用扇風機の前に立つ。
生ぬるく力強い風が背の低い阿瀬の体を押した。
汗ばんだ肌が冷え、目を瞑れば何となくではあるものの抱えている悩みすらも吹き飛ばしてくれている様な錯覚を覚える。
負の感情も、全てが無くなっていく気になるが強い風から離れると一瞬にして戻って来てしまう。
「あー。ダメだなあ。」
呟いて、ダグアウト前に腰を下ろす。自身のミットとグラブを取り、タオルを手にすると汚れた箇所を拭い始める。
そんな阿瀬の姿を、暇があればと遠くから見つめていた。
まるでテディベアのように足を伸ばして座り、フェンスに凭れながら拭う姿は愛くるしい。好意を膨らませながら見つめていると、背後から名前を呼ばれて振り返る。
「好きっすね、Aの事。」
山岡だった。
「好きだよ。」
彼の言葉に包み隠しもせず、サラリと発言した。
爽やかな受け答えに山岡は思わず「ふふん。」と小さく笑ってしまった。
ストレッチを終えた山岡は道具を片しながら山��を見つめる。
「どうします？Aが、おかしくなったら。」
「……なに、おかしくなったらって。」
山岡を見下ろし、困った様に、そして少しだけ不安げに眉を下げて笑った。
突然何を言い出すんだと言わんばかりの表情に、山岡は遠くに見える阿瀬へと視線を向ける。
「ああ見えて、Aの心相当脆いんすよ。本当に、握りつぶせるくらいに脆い。」
「…何が理由？」
「それは自分で考えてくださいよ。」
山��へ視線を戻し、意地悪な笑みを浮かべる山岡はそう言って立ち上がるとその場を離れていく。
1人取り残された山��は、彼に言われた事に首を傾げて考える。理由が何も分からなかった。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
