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セミが鳴き喚く真夏の暑い日。
照り付ける陽射しから逃れる様に、そそくさとドーム内へ入っていく。何の変哲もない、毎日同じ時間が流れて同じ行動を繰り返す時間。
長い廊下ですれ違う球団職員は、阿瀬を見て思わず声を掛けた。
「…大丈夫ですか、阿瀬さん。」
「……大丈夫って…なにが、っすか？」
「顔色、悪い様ですけど…体調とか、何か気分が悪いとか。」
男性職員の声に歩みを止めて、くるりと振り返る。
彼の事を見上げながら、不安そうに顔色の心配をされると自身の頬に触れ、首を傾げた。
血色のある子供らしい肌が、この日は青白く、唇も血が通っていないのかと思う程紫だった。
暑すぎる気温に熱中症や夏バテを疑ったが、顔色が悪い以外特に何も無いようでケロリとしている。
「特に、体調は問題無いと思いますけど…。万全です。」
「でも、顔色がすごく悪いです。」
「暑かったからじゃないですかね？」
「青白いですよ顔、一旦救護室行った方が…。」
どうしても阿瀬を休ませたい球団職員と、なんともないと言い張る阿瀬の攻防戦は数分に渡って繰り広げられた。
そうこうしていると、サロンへ向かう為廊下を歩いて来た山崎が「なにしてんすか。」なんて問いかけた。2人して彼を見上げると、球団職員は阿瀬の顔色の心配を彼に伝える。
「ほんまや、お前青白いで。肌冷たいし。」
「でも、なんともないよ。普通に動けるし、キツくもない。」
「んー。じゃあ、精神的な問題？」
大きな手が、阿瀬の頭にポスッと乗せられる。
ゆっくりと、優しく撫でられると阿瀬は小さな口を噤んで球団職員と山崎の2人から視線を逸らした。
少しの間、空調の音だけが響く時間が流れる。
俯き気味になった阿瀬を見て、山崎は何か思い当たる事があったのだろう。米俵を担ぐ様に阿瀬の体を持ち上げると
「体調大丈夫そうなんで、連れて行きます。俺が治すんで、あんま気にせんとってくださいね。」
と、頭を下げて阿瀬をロッカールームへと連れて行く。
普段なら " 降ろせ " だの、" おい！ " だのと何かしらの言葉を発する阿瀬だが、この日はそんな気力も無いのか黙ったままだ。
数人の選手が着替える中、阿瀬を自身のロッカー前の椅子に降ろすとしゃがんで目線を合わせる。
「…言ってみ、何がしんどいねん。」
真っ直ぐ見据える、山崎の優しい瞳。
阿瀬はじっと見つめたまま
「……もう嫌や。」
と、小さく震えた声で呟いた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
