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ただの脳震盪、負傷交代となった阿瀬だが救護室で安静に横になっていると症状も落ち着き、普段通りに立ったり座ったり、歩いたりと行動する事が出来ていた。
けれどまだ安静に、という事で壁掛けの液晶テレビで試合の様子を見つめている。
7回まで投げた山��は勝利投手の権利を持ってマウンドを降りた。球数も多くなっていたからだろう。
そんな彼はすぐさま阿瀬の元へとやってきた。
ぼうっとテレビ画面を見つめていた阿瀬の横顔を見て、安堵したように胸を撫で下ろしながら目の前にしゃがみ込む。
阿瀬の薄い手を取り、自身の方を向かせる為に名前を呼んだ。
「何ともなさそうで良かった。」
目線を合わせ、片手で阿瀬の両手を握り、もう片方の手で発汗して冷たくなった阿瀬の頬を撫でる。
「すみません、心配かけちゃって。」
「んーん。あの場面、俺が抑えてれば良かったから、俺のせい。ほんっと、無事で良かった。」
不安げだった山��の表情には笑みが戻り、腕をアイシングする為一旦阿瀬から離れる。
スタッフやトレーナーの声がガヤガヤと聞こえる室内で、鮮明にドーム内の大きな歓声が響いてきた。
パッと阿瀬はテレビ画面へ顔を向ける。
杉本が放ったツーランホームラン、更に相手球団との点差を離していく。思わず阿瀬の表情は綻んだ。
自身が居なくても、チームは回るんだと思うと嬉しくて、少しだけ決心が固まった。
「A、ベンチ戻る？まだ安静にしてなきゃダメか。」
「あ、もう、もう戻ります。」
「ん、じゃあ一緒に戻ろう。ほら。」
柔らかく微笑んだ山��は、阿瀬へ手を差し伸べた。
一瞬手を取る事を躊躇った阿瀬だったが、ここで拒否しても場の空気がおかしくなるだけな為、素直に彼の手を握る。
大きな手に包まれ、暖かい体温が手の平から伝わりほんの少しだけ安心してしまう。
彼に手を引かれ、救護室を後にするとすぐにダグアウトへと戻った。
広がるグラウンドでは中継ぎ投手がマウンドに立っており、皆が守備位置に着いている。阿瀬の代わりとして出場している福田に感謝をしながら椅子に腰掛けた。
光が入らない、ダグアウトの奥の方。
手を繋いだまま、隣同士に腰を掛けた2人はこれといった会話も無く、目の前の試合を願うように見つめる。
離さないのか、なんて阿瀬は心の中で疑問に思ったものの、彼の気の向くままに自由にさせていた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
