�� ページ16
大嫌いだとは思っていなかった。
なんなら尊敬する部類の人で、そんな人が投げる球を受けられる事を誇りにも思っていた。
行き過ぎた彼の愛情に少しだけ嫌気が差しているだけで。
撫で回された宮城は笑いながら、彼も腕を伸ばして阿瀬の小さな頭を撫で回す。
大の大人2人で何をしているんだと思われる行動が、案外楽しかったりするものだ。
「試合中のスキンシップは好きなんだ、あの人、ダグアウトで何もしてない僕にも話し掛けてくれて、途中出場した時は褒める様に撫でてくれてね。大好きなんだ。」
四方八方に向いた阿瀬の髪は、冷房の風にゆらゆらと靡く。
先程までつらそうに、もう無理だと言わんばかりに苦しそうに話していたはずなのに、宮城と馬鹿な事をしたからか屈託の無い笑みを浮かべて山��のいい所を話し始める。
「捕手として受け止める事が出来るのも嬉しいし、外野で背中を護る事も楽しくて。野球に私情を持ち込まない所は大好きなんだ。試合中だけは、負の感情を抱かないでいられる。」
宮城の頬からするりと手を離す。
阿瀬の表情は本当に幸せそうで、柔らかくはにかむと「僕もチョロいね。」と少しだけ照れ臭そうに言った。
冷たい部屋に、ほんのりと暖かみが生まれる。
心の底から嫌っているわけじゃないんだ、と知った宮城も微笑みながら相槌を打つように頷いて話を聞く。
レースカーテンから透けて入る陽の光はダイヤモンドの様にキラキラとしており、阿瀬の心を表しているようだった。
「…こんな話、由伸とか先輩には話せないじゃん。
宮城と僕の秘密ね。お願い。」
小指を立てたかと思えば、力の入っていなかった宮城の小指に自身の指を絡めて小さく上下に振る。
指切りげんまん、と歌い出したかと思えば勝手に指を切った。
「めっちゃ勝手に約束するじゃないすか。」
「宮城はこんな事しなくても守ってくれるもんね。」
意地悪に笑った阿瀬は体を起こしてベッドに腰掛ける。
また小さく木枠が軋んだ音がした。
冷えた空気と、暑い程の太陽の陽射しが中和する。いつの間にか阿瀬の部屋は居心地の好い場所に変わっていた。
「…僕はいつでも話聞くんで、なんかあったら言ってください。」
「ありがとね。また部屋に呼びに行くかもしれない。」
「うん、待ってます。」
そんなやり取りをすると、宮城は立ち上がり帰ろうと扉の方へ向かう。
そんな彼を呼び止めて棚からひとつ、個包装の飴玉を渡した。
「これ、感謝の気持ち。」
と、少年の様に笑って。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
