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獲物を捕らえた様な山��に、阿瀬は困った様に眉を下げて笑う。
3人の間にほんの少し冷ややかな風が抜ける。
「…さちさん、俺呼びに来たんすよね？」
「うん。そーいちが暇そうだったし。」
「じゃあなんでAにしがみついてんすか。」
山本はチラリと阿瀬の表情に目をやった。
愛らしい笑みを浮かべて、山��の顔を見上げている。仲が良さげに、やけに距離が近い。
背中を曲げて、背の低い阿瀬の髪に頬を寄せながら
「いいじゃん、ね。」
と山��が、いつもの優しい笑みを浮かべた。
裏表が無さそうな、信頼出来る笑顔のはずなのに山本の瞳には全く違うものに映っていた。
「うん、僕も嫌じゃないですし。」
少し擽ったそうに身を捩りながら、阿瀬は山��の手の甲を自身の手の平でそっと覆う。
2人の世界は暖かくて、笑みが零れてしまうような空間で、山本の付け入る隙が無い。
「…なら、いいけど。ほらさちさん戻ろ！Aばっか構ってないで！」
阿瀬の気持ちは知っているが、彼も彼なりに当たり障り無く会話をする為、第三者が変に割って入る訳にもいかなかった。
山本は阿瀬の事を愛おしそうに見つめる山��に声を掛け、投手陣の元へと小走りで向かって行った。
「じゃあ、俺も行くから。怪我はしないようにね。」
「当たり前じゃないっすか。福也さんもほら、早く。由伸が手招きしてますよ。」
こめかみ付近を手の平で撫で、頬を包む。片手で収まってしまいそうな阿瀬の顔を見て小さく笑った山��に、阿瀬もつられて笑いながら、少し離れた場所で待っている山本を指さして言った。
一瞬山��の表情から笑顔が消えたが、見間違いだろうと思い込む。
名残惜しそうに阿瀬の頬から手を離した山��は、背を向けて待っていた山本の元へと駆けていく。
先程まで頭上で声がしていた空間も、いつの間にかしんと静まり返る。
打撃練習の快音が響く中、阿瀬はバットを取りにダグアウトへ向かった。
1人になって、少し落ち着こうと深呼吸をする。
椅子に置いていたバッティンググローブを手にし、着用しようとした所で手が小刻みに震えている事に気が付いた。
ピリついた2人が離れてくれて安心したのか、それとも2人の空気が怖かったのか。
薄暗いダグアウトで、グラウンドに背を向けて自身の両手を握る。震えが止まらない事に多少焦りを覚え
「なんで、なんで…止まれや…。」
と、小さな声で呟きながら、ダグアウト内でしゃがみ込んだ。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
