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ドームに帰ってきた選手達はそのまま練習を開始した。
試合は無い、夕方までの数時間程度の練習だ。
ネットがセットされ、あちこちで選手達の掛け声や笑い声が響いて来る。
阿瀬も、未だハッキリしない頭に喝を入れて芝を踏みしめる。
やっぱり本拠地がいいな、と広がる視界と芝を感じてふと思う。
打席で打撃練習をする杉本の姿を、ネット越しに見つめる。
片足に重心をかけ、じっと技術を盗むように。まだ蒸し暑いドーム、額には汗が滲んだ。
「A、人が打撃練してる時めっちゃ見るよな。」
頭上から少し上擦ったような声がしたかと思えば、背後からぎゅうっと両肩を掴み、抱き締められる。
すりっと阿瀬の柔らかい黒髪に頬を寄せたのは同期の山本だ。
「技術盗んでる。」
「あんなシンプルフォームのどこに盗んだ要素あるん。」
「…心。」
「絶対嘘や、今考えたやろ！」
わはは、と大口を開けて阿瀬の体を強く揺さぶる。
されるがままの阿瀬の黒髪は揺すられる度に毛先が揺れて、瞳がブレる。
ピタッと揺するのをやめると思わずふらつき、足元が覚束無くなっていた。
「んふふ、目回ってるやん。ごめん。」
そう言った山本は阿瀬の薄い手を取り、転ばないようにと自身の方に引き寄せる。
山本の胸に頬を当てると、彼の少しだけ速くなっている心音が耳に届く。
心地の好い鼓動に、阿瀬の大きな瞳は糸のように細くなった。
「ふふ。」
と、小さな笑みを零した阿瀬は顔を上げて山本の顔を見上げた。
確実に、可愛く見える角度や表情を知っている。
あざとさに全振りした阿瀬の仕草に、山本の鼓動は煩く、余計速くなってしまう。
「…お前ほんまに…。」
「お？由伸真っ赤だ、熱でもあるんじゃないの。」
阿瀬の肩を掴んで離そうとする山本に、口角を上げてニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて追撃する。
悔しそうに表情を歪める山本と、ケラケラと笑って楽しげに笑う阿瀬は同期という事もあり、かなり仲が良さげだ。
「練習サボり？」
そんな声がしたかと思えば、背後からクンっと引かれて何かに身を預ける。
暖かい人肌から離れたと思えば、背中にまた体温が伝わって来る。
顔を上げれば、一瞬怖い表情をした山��が阿瀬の瞳に映った。けれど彼はすぐに笑顔に変わり、
「サボるならバレないようにしないと。」
と、山本を真っ直ぐ見据え、阿瀬の華奢な肩を掴む大きな手に力が入る。
絶対に離さない、渡さないと言わんばかりに強く。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
