言うて二番煎じ

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カープ戦、セ・リーグにはDHが無い為投手が打席に立つ。板東の打席、ダグアウトに居たチームメイトは大いに盛り上がっていた。
バットに当ててファールにすると栗原も楽しそうに笑い、柳田も笑顔に。その背後でぴょこぴょこと顔を出す柳瀬も「すげぇ〜！」と声を上げる。塁に出ることは無かったがそれでも見ている方も打つ方も楽しい打席となった。

「やっぱりすごいよ、Aは」

戻ってきた板東は柳瀬の隣に腰掛けると、笑いながらそう言う。「口説いてますね？」なんておふざけで柳瀬は笑いながら聞くと、彼も笑顔を見せながら「口説いてるよ」なんて手の甲で柳瀬の頬を撫でて答える。

「…心臓にきますね」

「ふふ、大袈裟な」

「いや、結構まじに湧梧さんに言われると色んな感情が心臓にきます」

「Aも口説いてるよね」

2人で楽しげにイチャイチャと会話をする姿はバッチリとテレビカメラに収められている。
そんな事露知らず、2人とも笑顔でちょっかいを掛け合っていた。

「またなんか楽しそうな事を」

と振り向いた周東は2人を見て笑う。汗に濡れた髪は自由自在。柳瀬に似合う髪型を探している板東とされるがままの柳瀬を微笑ましそうに眺める。
柳瀬の顔も悪いことは無い。少し幼くて、かっこいいと言うよりは可愛い系統ではあるが不意に見せる瞬間の顔は女性人気も高くなる程イケメンだ。ただ、何故かイケメンランキングには選ばれない為、チームメイトは「身長のせい」なんて柳瀬をからかう。


試合も進み、柳瀬が代打に。柳田から背中を叩かれ気合いを入れてもらうと、柳瀬はバットを持って打席へと向かった。

塁には誰もいない。ツーアウトというかなり厳しい状況だが、野球はツーアウトからとはよく言ったもの。
右打席に立つとバットを構え、初球から打ちに行く。かなりいい打撃、駆けながらボールの軌道を目で追った。観客の大きな盛り上がった声、スタンドに落ちた事を知らせてくれる。柳瀬のソロホームランはチームの指揮を上げることになった。

その後、6回では柳田が２ランホームランを放ち、点差を広げて試合は終了。
柳田がインタビューを受けている姿を、柳瀬は彼の目の前で楽しそうに聞いていた。ナイス、なんて小さな拍手を送ると柳田も楽しそうに笑ってインタビューを終えてすぐに柳瀬の肩に腕を回す。

「お前も最近調子ええな〜」

「誰よりもホームラン量産します」

「おう、頑張れ」

そう言って、お前ならやれると言わんばかりに小さな頭を撫でた。

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