4 ページ4
とあるローカル番組のコーナーで、カメラとリポーターがドームまでやってきた。
よく話す柳田や栗原はもちろん、周東や中村も捕まっていくつかの会話のキャッチボールをする。
1人で柔軟をしていた柳瀬の元にも、「柳瀬選手!」なんて元気な声をかけて近寄って来た。
「すみません柔軟中に」
「ああ、いや、いいっすよ。」
小さく首を横に振り、立ち上がる。思ったよりも小さな柳瀬の身長に、見あげようとしていたリポーターの首が止まり、すぐに見下げてくる。柳瀬はリポーターよりも小さかった。
「今見上げようとしましたね」
「すみません、つい。他の方のクセで」
「僕も見上げてもらえるような身長になりたかったっす…」
淡々としている柳瀬だが、ローカルタレント達は扱いをよく知っているのか、感情の起伏があまり無い柳瀬を見てよく笑う。
そして、手のひらで目元を覆い隠し、悲しそうに呟く柳瀬を前に「小さな巨人って言うじゃないですかぁ」なんて思い切り地雷を踏みに行く。扱い慣れてるローカルタレントだから出来る事。
その後もやり取りを続けていると、「いじめないでくださーい」なんて栗原が飛んできた。
「陵矢くん!ひどいのよこの人達!僕の精神をズタボロに!」
「なんて事を…!どうするんですか!Aがハゲでもしたら!」
「え…やだ…」
誰かが来てくれると柳瀬もおちゃらけた事が出来るようで、背後から守るように体に腕を回して抱き締めてくれている栗原にふざけた声と口調で訴える。栗原もノリが良く、柳瀬を抱き寄せてリポーターに言うが、リポーターはただただ楽しそうに、微笑ましそうに眺めているだけ。
そして柳瀬は"ハゲ"の言葉に恐怖を感じ、自身の頭を両手でぺったんこになるほど押さえ付けた。
「柳瀬選手は1人だと感情が無に帰すけど、誰かいたらちゃんと感情取り戻すから楽しいですね、話してて」
リポーターは分析しながらカメラに向かって話す。その背後から「分析すなー」「恥ずかしがってまーす」なんて小さな声で野次を飛ばす2人。
こんな一面、九州に住んでいる人しか知らない。
全国放送されるカメラの前だと誰が隣にいても自分を出す事が出来ないのだ。その為、大半の野球ファンからは悪い印象しか持たれず、苦労している。
「珍しい、カメラあんのに笑っとるやん」
「陵矢がおるからっす」
「またイチャついてぇ」
なんて柳田から言われると、誰よりも栗原が1番嬉しそうに柳瀬を抱く腕に力を入れた。
595人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mexx(プロフ) - 初めて見つけて一気読みしました!!!おもしろくてあっという間!続編希望します!!🥹 (10月4日 23時) (レス) @page45 id: 553f86ba4d (このIDを非表示/違反報告)
Waaaaka03(プロフ) - 今更ですが一気読みしました!!途中ちょっと泣きそうになりながらも大谷さんともいい対談して、、、最高でした!!!! (8月20日 11時) (レス) @page45 id: 03c5b943b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮(プロフ) - ばたこさん» またもし次の作品でばたこさんに刺さるものがあれば嬉しいです!ここまでありがとうございました!🙇♂️ (6月23日 8時) (レス) id: e835b41f9a (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - え!!!!!もう終わっちゃうんですか!!!悲しいです🥺私の入院中の唯一の楽しみでした、ありがとうございました!完結おめでとうございます(_ _) (6月23日 8時) (レス) @page45 id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宮 x他1人 | 作成日時:2023年6月11日 0時