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男は取り押さえられ、倒れ込んでいた柳瀬を駆けてきた柳田と栗原が抱えてフェンスを超えてフィールドシートから出した。

「ごめん、ごめんね、僕元気やけん!こんな事なってごめんね、応援ありがとうね」

ふらつきながらも支えてくれていた2人から離れ、半泣きの子供に寄っていって柳瀬は笑顔を見せる。子供は小さく頷きながら、「頑張ってね」とだけ伝えると、連れて行かれる父親の後を追って離れて行った。
目の前にチームの主力と言える人物が2人も居るのに、サインを貰える雰囲気でも無い。柳田は柳瀬の腰に腕を回すとシートから離れさせ、2人の間に挟んでダグアウトの方へと歩を進める。

「血、出てる。他にぶつけたとか、痛むとことかない?」

強い力で殴られたからか、こめかみと頬骨は青紫に、そしてそのこめかみは流血までしており、痛々しく見えた。けれど意外と本人は鈍感なもので、手のひらで血を拭いながら、「いや…」なんて言いながら体を見るが特に異変も無い。

途中で歩みを止めて、柳田は柳瀬の腕や体を軽く押し、最後に頭の後頭部付近に触れた。その瞬間ズキンと強い痛みが走り、柳瀬の表情は歪んでしまう。

「たんこぶ出来とるやん、相当強く打ったやろ」

「あんま記憶が…」

「俺らの判断じゃ分からんから病院行ってみ。監督もそう言うと思うし」

なんて柳田は言う。柳瀬の左側を並んで歩く栗原は、自身のタオルでこめかみの傷口を押さえてくれており、白いタオルが赤くじわりじわりと染まっていくのを不安そうにまじまじと眺めていた。
止まらない血、それが怖くて、倒れるんじゃないかと心配で栗原の眉は下がってしまう。

「何してた、何された?」

意識がしっかりとしているかの確認だろう。監督は戻ってきた柳瀬にそう問いかける。

「…子供に、サイン書いてて…そしたらなんか、ガツーンって強い衝撃がここに来てですね」

「強い衝撃が何か分かるんか?」

「……いや…。僕何された?え、殴られたん?」

何が起きて血まで出ているのか今まで理解してなかった柳瀬は、隣で血を止めようとタオルで傷口を押さえてくれている栗原に焦って問いかける。記憶のほんの一部が衝撃で飛んでしまっていたのだ。頭を打ったことも忘れていた為、それ程強い衝撃だったのだろう。

「まだ病院も開いている時間やし、着替え終わったら行ってこい」

監督からの指示は絶対。「分かりました」と小さく頭を下げると駆け付けてきてくれた2人に礼を述べて先に1人で裏へと戻った。

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Mexx(プロフ) - 初めて見つけて一気読みしました!!!おもしろくてあっという間!続編希望します!!🥹 (10月4日 23時) (レス) @page45 id: 553f86ba4d (このIDを非表示/違反報告)
Waaaaka03(プロフ) - 今更ですが一気読みしました!!途中ちょっと泣きそうになりながらも大谷さんともいい対談して、、、最高でした!!!! (8月20日 11時) (レス) @page45 id: 03c5b943b6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ばたこさん» またもし次の作品でばたこさんに刺さるものがあれば嬉しいです!ここまでありがとうございました!🙇‍♂️ (6月23日 8時) (レス) id: e835b41f9a (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - え!!!!!もう終わっちゃうんですか!!!悲しいです🥺私の入院中の唯一の楽しみでした、ありがとうございました!完結おめでとうございます(_ _) (6月23日 8時) (レス) @page45 id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2023年6月11日 0時

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