15 ページ15
初めて見る本物のダルビッシュ有、そんな彼に沢山褒めてもらって柳瀬は幸せでいっぱいだった。「明日は出る?」なんて聞かれるとコクコクと小さく頷く。
「すげぇ」
「全然…。結局打たれたし、僕は点すらも取れなかったですし」
「いや、両立させられるだけ凄いで。翔平が見たらびっくりするやろうなぁ」
「…全然っすよ、本当に…」
眉を下げて困ったように笑う。「明日も見れるの楽しみにしとくから」とダルビッシュは柳瀬の肩を叩くと他の場所へと向かってしまった。
幸せな時間だ、なんて余韻に浸っているとカメラとリポーターが柳瀬の方へと向かって来ている事に気が付いた。
インタビューの許可を得た彼女らは柳瀬にカメラを向けて、マイクを向ける。
「今日の強化試合どうでしたか」
「いや、もう僕は全然ですね。皆に申し訳ない事しました。代表最強ですね」
なんていつものように淡々と。女性が苦手なのだろうか、しっかりと受け答えはするがリポーターじゃなく、男性のカメラマンとよく目を合わせている。何回かの質疑応答を繰り返された後、「第二の大谷翔平や二番煎じなんて言われている事もあると思いますが」と問われた。1番嫌いな言葉だ。負けたからといってこんなことまで聞くのかと内心不満を募らせる。
「そうですね。二番煎じです。でも僕は第二の大谷翔平選手では無いです。彼にも失礼に値しますし、僕も嫌です。彼は彼、僕は僕です。世界に1人しか居ない柳瀬Aです。」
少しだけ嫌味を返して、そのまま質問は終了。カメラマンもリポーターもそそくさと別の選手の元へと向かっていった。
大きなため息をついた後、ぐぐっ…と伸びをして周りを見回した。まだホークスの選手もお喋りをしているし、自分もと思いある人物を探す。パッと目に入り、柳瀬はすぐに駆けていく。
「大弥くーん…と…」
宮城に近付いた柳瀬は、話しかけちゃ不味かったかと思いながら歩を止めた。宮城と、背の高い佐々木が柳瀬に目をやると、2人ともパッと目を輝かせる。「Aさん!」と元気に返事をする宮城と、帽子を外して頭を下げる佐々木に柳瀬も丁寧に頭を下げた。
「あ、柳瀬Aです。えーと…佐々木くん?朗希くん?でいいんかな?」
「じゃあ朗希で…」
「んふふ、朗希くんね。よろしくね。…すげーやん大弥くん、もう仲良くなったったい」
「仲良くなりました!」
なんて、小さいサイズが顔を見合せて話している光景を佐々木はじっと微笑ましそうに眺めていた。
595人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mexx(プロフ) - 初めて見つけて一気読みしました!!!おもしろくてあっという間!続編希望します!!🥹 (10月4日 23時) (レス) @page45 id: 553f86ba4d (このIDを非表示/違反報告)
Waaaaka03(プロフ) - 今更ですが一気読みしました!!途中ちょっと泣きそうになりながらも大谷さんともいい対談して、、、最高でした!!!! (8月20日 11時) (レス) @page45 id: 03c5b943b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮(プロフ) - ばたこさん» またもし次の作品でばたこさんに刺さるものがあれば嬉しいです!ここまでありがとうございました!🙇♂️ (6月23日 8時) (レス) id: e835b41f9a (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - え!!!!!もう終わっちゃうんですか!!!悲しいです🥺私の入院中の唯一の楽しみでした、ありがとうございました!完結おめでとうございます(_ _) (6月23日 8時) (レス) @page45 id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宮 x他1人 | 作成日時:2023年6月11日 0時