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「守備練しようかと」

驚いてうるさい心臓を落ち着かせるように胸を叩きながら今宮にそう言う。「おーいいやん」なんて彼も返してくれて柳瀬も笑顔になった。やはり人から認められたりすると嬉しくて少しの肯定でも笑顔になってしまう。

コーチに球を打ってもらい、左右に往復しながら走るキャッチャー練をしている栗原や九鬼を見て眉をひそめる。絶対やりたくないなんて思いながらその場から離れた。

高く打ち上げられたフライ。柳瀬は天井を見上げ、球を目で追ってグローブで受け止める。
そしてそのままホームへ送球した。相変わらず遠投する肩の強さは健在で、調子も良く思えて気分は上々。

打撃練習でも10球のうちの半分はスタンドへと吸い込まれていく。けれどまだ柳瀬からしたら不満なようで、首を捻りながら打席から外れたフェンスの近くで腰を下ろした。
水を飲みながら何が悪いのか考えるがこれといって何も変えていないし、去年とフォームも同じなはず。

眉をひそめて考えていると「どうしたそんな顔して」と中村が問いかけた。

「いやぁ…絶対芯で捉えたはずやのに飛ばんのですよ」

「5本は入ってたけど」

「僕はそれで満足出来んのです!」

「お前頑固やなー」

守備は上手いしここぞと言う時に打つ中村は柳瀬の憧れでもあった。
隣で悩む柳瀬に、中村は少し考えて「もう少し筋肉付けたら?」と彼の二の腕に触れて言う。筋肉は付いている方だが、確かにまだ細くはある。ぐぐ…っとまた眉間に皺を寄せた柳瀬は

「筋トレ嫌いっす…」

なんて呟いた。

「やらなきゃ理想のバッティング出来んよ」

「分かっとるんすけど、どうも続かなくて」

「…あ、じゃあスタンプ制にする?1日1回、課された事が出来たらスタンプ1個。10個貯まったら好物のシュークリーム1つ」

なんて中村は柳瀬に提案した。そんな提案、乗るしかない。すぐに首を縦に振ると「スタンプ用紙は自分で作ってよ」と告げて中村は柳瀬から離れていく。打撃に不満を募らせていた柳瀬だが、シュークリームという単語が出てきただけで機嫌を取り戻す。
その様子を広報のスマホはしっかりと捉えていた。立ち上がったと同時に垂直に飛ぶと、そのまま「走ってきまーす!」なんてコーチに言うとドーム内を走り始めた。

「筋トレって言ったのに」

元気に駆けていく柳瀬の背中を中村はバットを持ったまま、じっと見つめて呟いた。

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Mexx(プロフ) - 初めて見つけて一気読みしました!!!おもしろくてあっという間!続編希望します!!🥹 (10月4日 23時) (レス) @page45 id: 553f86ba4d (このIDを非表示/違反報告)
Waaaaka03(プロフ) - 今更ですが一気読みしました!!途中ちょっと泣きそうになりながらも大谷さんともいい対談して、、、最高でした!!!! (8月20日 11時) (レス) @page45 id: 03c5b943b6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ばたこさん» またもし次の作品でばたこさんに刺さるものがあれば嬉しいです!ここまでありがとうございました!🙇‍♂️ (6月23日 8時) (レス) id: e835b41f9a (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - え!!!!!もう終わっちゃうんですか!!!悲しいです🥺私の入院中の唯一の楽しみでした、ありがとうございました!完結おめでとうございます(_ _) (6月23日 8時) (レス) @page45 id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2023年6月11日 0時

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