9 ページ9
オフの日、チラチラと時計を気にしているとオートロックの方の呼出音がなった。すぐに立ち上がり、モニターを見ると大谷がモニターに向かって指を動かす。
「どーぞ、エレベーター前段差あるからね」
そう言うとオートロックを開けてモニターを切った。
数分してすぐに玄関前のインターホンが鳴る。相原は笑みを零しながら扉を押して開けると「15分も早いよ」と楽しそうに言う。
「Aと会うのが楽しみでさ」
そう言いながら笑い、大谷は相原の頭を無造作に撫でる。
暇だし、日本に行く前に相原の家でゲームでもしようと言う話になり、この日大谷が訪ねてきたのだ。
「ゲームするだけじゃん、あ、お昼は?食べた?」
「まだ、結構お腹すいてる」
「じゃあゲーム準備してて、僕軽く何か作るよ」
その言葉に、大谷は荷物を下ろしてテレビ台の下からコントローラーを取り出しながら「制限中だからね!」なんて声をかける。
「知っとる!」と相原も笑いながら返事をすれば、少し考えた後、卵ともやしと豚肉を取り出してすぐに作り始めた。
15分もしないうちに出来たのはとんぺい焼き。他の家庭ではそうでは無いかもしれないが、相原からするとかなりの手抜き料理だった。
「翔平ちゃんご飯よ」
「やだその呼び方ぁ」
そんなやり取りをしながら、炊いていた白米を茶碗についでテーブルに置く。箸を渡すと、椅子に腰掛けて手を合わせ、「いただきまーす」とすぐに食べ始めた。
相原もお腹は空いていたのだ。
「あ、うま」
「僕制限とかしてないから油ものも甘いものも食べるけどさ、翔平にご飯作るってなると何出したらいいか分かんなくなる」
「んー、ふふ、あんまり気にしなくていいよ。大丈夫、深く考えなくていいよ。作ってくれるだけで嬉しい」
優しく笑う彼に「結婚したら良い旦那さんになるんだろうね」と珍しくおちゃらけずにまともな事を口にする。
その様子もまた楽しいのか、大谷は「Aにだけ」と答え、おかずを口に運んでいく。
男2人が1皿のとんぺい焼きを食べるのにそう時間はかからなかった。お腹も満たされ、食器も洗ったところでコントローラーを手にした。
「このキャラにしよ」
「うわ、それ強いんだよ」
キャラ選択をして楽しそうにゲームを開始した2人、楽しそうな声を上げてあーじゃないこーじゃないと戦っていく。
「え?強いって言ったのに負けた」
「キャラコンの問題」
「いや、視力の問題かも」
そう言い訳をする大谷に相原は声を上げて笑った。
606人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お餅(プロフ) - 夢小説で初めて泣きました素敵な作品ありがとうございました (6月18日 23時) (レス) @page33 id: 8d7c7e252f (このIDを非表示/違反報告)
ツンデレ殿(プロフ) - 完結お疲れ様です。涙涙で頭が痛くなりました笑とても素敵な作品でした!!本当にお疲れ様でした!! (6月11日 21時) (レス) @page33 id: 62ded70eb4 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結お疲れ様です。正直、かなり泣いてしまいました笑笑 前作も読みましたが、凄く面白かったです。素敵な作品を、ありがとうございます。 (6月11日 11時) (レス) id: cf3b69c759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宮 | 作成日時:2023年6月4日 13時