15 ページ15
11日のチェコ戦では佐々木がデッドボールを当ててしまった。それでも相手選手は大丈夫だと言わんばかりに駆けてくれて相原は胸を撫で下ろした。佐々木もきっと心を救われただろう。
「お、すごい量」
「当てちゃったんで、お詫びで…喜んで貰えるといいんですけど」
「ふふ、大丈夫だよきっと。」
そう言って背中を押すが、一緒に来てくれと佐々木は相原の腕を掴んで引っ張って選手の元へと連れて行く。
「あっ!君意外と強引な子ね!」なんて引き摺られる相原は佐々木に言いながら、一緒に向かった。
謝罪をしながらお菓子を渡す佐々木と、嬉しそうに受け取り笑顔になった相手選手を見て相原は微笑ましそうに笑う。
2人の写真を撮影してあげると、「"次は3人で!"」と相原の腕を引いて、スタッフにカメラを渡すと笑顔で写真に映る。相原の笑顔はどこか照れもあった。
「多分僕朗希くんのボール当たったら膝から下飛んでっちゃうな」
「本当に吹き飛びそうな細さですもんね」
「少しは嘘をつくのも学んだ方がいいよ君は」
「Aさんならいいかなって」なんて佐々木は楽しそうに笑う。きっと話しやすいのだろう、そしていつの間にか相原の骨ばった手を握っていた。
相原も手を繋ぐなんて大谷で慣れてしまっているせいか、おかしいとも思わずに並んで歩いている。まるで引率の先生と子供だ。
12日、オーストラリア戦。相原は先発捕手として起用された。
自慢の肩力と、足の速さと。そして少しの自信がある打撃。
全てにおいて爪痕は残したような気がする。けれどやはりもっと試合には出たい。
7回からは交代したが、ベンチに戻ると皆から「よくやった!」なんて沢山褒められて犬のように撫でられた。
7-1、今の所全勝だ。準々決勝戦に進める。
「まだこのメンバーと野球が出来ると思うと嬉しくてしゃーないっす」
ホテルでは風呂から上がった相原がホークスの4人の元で楽しそうに話していた。もしかしたら次負けるかもしれない、でもそれでもあと1戦は残っていると考えての発言。目を細めて心底嬉しそうに笑う後輩が可愛くて仕方が無いのか近藤が相原の背中を軽く叩き、牧原が水に濡れた髪を撫でた。
「そういや、皆どうしてます?元気すか?」
「もう元気すぎて仕方ないくらい。1番うるさいのは…誰かな」
「皆そこそこ騒がしいやろ」
なんて楽しそうに笑う。元チームメイトとこうして話せるのもあと何回か。次はいつ会えるのだろうか。もしかしたら、もう会えないかもしれない。
606人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お餅(プロフ) - 夢小説で初めて泣きました素敵な作品ありがとうございました (6月18日 23時) (レス) @page33 id: 8d7c7e252f (このIDを非表示/違反報告)
ツンデレ殿(プロフ) - 完結お疲れ様です。涙涙で頭が痛くなりました笑とても素敵な作品でした!!本当にお疲れ様でした!! (6月11日 21時) (レス) @page33 id: 62ded70eb4 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結お疲れ様です。正直、かなり泣いてしまいました笑笑 前作も読みましたが、凄く面白かったです。素敵な作品を、ありがとうございます。 (6月11日 11時) (レス) id: cf3b69c759 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宮 | 作成日時:2023年6月4日 13時