#2人乗り. ページ26
皆を送り出した後、神宮寺と瀬波は顔を見合せ子供のような笑みを浮かべた
皆からの大不評の髪型を美容室で直してもらう。美容師からしたら手間が増えて嫌だろうが、こうでもしないと瀬波のガタガタの髪は直らない。
「ほら、おいでここ」
「後ろ乗るの初めてやから怖いわ〜」
「振り落とされないようにちゃんと手、回しててね」
「ん。分かった」
駐輪場に停めておいた神宮寺のバイク。
全ヘルを被り、自身の後ろをトントンと手で軽く叩く。促されるまま瀬波も跨り、神宮寺の体に手を回し力を入れる。
免許も持ってるしバイクを買えば運転も出来る。ただ、人の後ろに乗る事は初めてで恐怖でしかない。
「…じゃあ行くよ〜」という神宮寺の声。「どぞ〜」と返事をすると、大きなエンジン音と共にバイクが動き始めた。
車と違い、体全体で感じる風は気持ちよくて、少しだけ恐怖感が増して。
無意識のうちに腕に力を入れ、背中に額を当てていた。瀬波も全ヘルを被っているから肌の感覚なんか分かりっこないのだけれど。
数十分走った場所にある美容室。
バイクから降りた瀬波の足は子鹿のように震えていた。
「あかん後ろ怖かった」
「めっちゃ震えてんじゃん!!」
神宮寺に支えてもらいながら、治まるまで数分の間待ってみる。
次第に落ち着きを取り戻す瀬波、ホッと安心しようやく1人で立てるように
「じゃあ終わったら連絡する」
「分かった、いい感じにしてもらいなよ!」
「それなりにしてもらう!」
お互い手を振り、店に入る瀬波を見送った神宮寺は近くにバイクを停めて1人で喫茶店に入る
落ち着いた場所、連絡があればすぐ駆けつける事も出来るし小腹がすいたら注文も出来るしいい休憩場所だ
メンバーに「今Aくん美容室〜」なんて呑気なメッセージを送っていた時だった。
ピロンと通知が鳴り、スマホ画面上部に瀬波からのメッセージが表示された
瀬波眠くて寝ちゃってたんやけどね
瀬波今起きたんよ
瀬波そしたらなんか勝手に染められててんけど
その文を見て思考が止まる神宮寺
黒じゃなくなったって事?とすぐに理解はしたが、何故勝手に?という疑問が出てくる。瀬波はなんて伝えたんだと考えながらも焦りながら返事をした
瀬波大丈夫?何色?
瀬波行こうか?
瀬波赤っぽいねんけど
瀬波来て、もう終わる。最悪や。
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宮(プロフ) - 名無し43069号さん» わー!!ありがとうございます!励みになりますー!!!! (2022年12月9日 13時) (レス) id: eaadcb025a (このIDを非表示/違反報告)
名無し43069号(プロフ) - 超絶めちゃくちゃこのお話好きです!!!!!!!!!!!!!!! (2022年12月9日 13時) (レス) @page40 id: 1a12019006 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2022年12月2日 13時