【堂本光一】ブレザー【男主】 (ページ9)

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#9. ページ9

「さっきからわざとやろ！！」

腕に当てられ流石にカチンと来たAはピッチャーの男子生徒に対して声を荒らげた
周りからしたらたまたま、偶然。そう思える内容ではあるがこれに関しては本人にしか分からない。
そして、確実に口裏合わせている相手チーム側は案の定シラを切った。

「はぁ？わざとちゃうし。何処に証拠あんねん」

「俺が打席立つ度ストライクゾーンじゃなくて体狙ってきてたやんけ！何回避けたと思ってんねん！」

「知らんし、たまたまやろ。当てられたくらいでキレんなや」

バットで相手を指し訴えたが、呆れたように溜息をつき適当に流す男子生徒。それにまたムカムカと怒りが募る。
「こいつ…」と小さく呟くと、サードを守っていた光一が駆け寄ってきてAの肩に手を置いた。
片方の手で当てられた腕を擦りながら、眉を下げ落ち着かせようと顔を覗き声をかける。

「な、落ち着こ、」

「…ん。ごめん」

彼の言葉に、怒りをグッと飲み込むとバットをその場に置きファーストへと小走りで向かう。
打席の前でじっと不安そうな表情を浮かべたままAの背を眺める光一、まだ少し不満そうなAの表情を見た後サードの方へと戻って行った。

ピッチャーの男子生徒は大体のコントロールは良い。
Aの時だけボール球連発でデッドボールまで。当たった瞬間の気持ち悪い嬉しそうな笑みと声は忘れないだろう。

50分してようやく体育が終わると、重い足取りで1人グラウンドを歩き校舎へと戻って行く。
周りはザワザワと楽しそうな会話をしている中、疎外感を感じ口を一文字に閉じ俯いていた。

「腕、見して」

左側からいきなり聞こえた光一の声に、Aは驚いたように顔を上げ1、2歩後ずさった。そんな反応を見て申し訳なさそうに眉を下げて笑うともう一度Aに寄る。

袖で隠れた二の腕を見せると、薄らと青アザが出来ているのが確認出来た。「触るで」と声をかけ、腕に触れると軽く押す。
特に反応も返ってこない為、もう少しと力を入れて押すとAの腕がピクリと反応した。

顔を上げ顔を確認すると、眉を顰め痛みを我慢しているような表情を浮かべている。
すぐに手を離し、袖を直すと光一は心配そうに声をかけた。

「保健室行こ」

「別に押さんとけば痛くないし、大丈夫やで」

「でもアザなってるやん」

「大袈裟やねんて。すぐ治るわ」

心配をかけないようにと少年のような笑みを見せ、彼の背をトンと叩いて下駄箱へと向かって行った。