【堂本光一】ブレザー【男主】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:4,295 hit

#8. ページ8

光一はクラスでも、学年でも人気者だ
綺麗な茶髪混じりの髪、顔はいいし頭もいい、そして運動神経もいいと来た。男子校とはいえ、憧れの存在として皆光一に話しかけ何としても友人の座を獲得しようと必死でいる。

一方A。真っ黒で1度も染めたことの無い綺麗な髪。系統は違えど、顔は良く、頭も良い。光一よりは劣るかもしれないが運動神経もそこそこに。
身長差も無く、同じ関西弁。それなのにいつの間にか彼との差は開き、クラスでは相手にしてくれる人間は彼だけとなった。

それでも光一の1番の友人はA。
親友の座をいつの間にか獲得していたAに対する嫉妬か、なんなのか。

「デカいな体操着」

「これしか無いねんて」

「着こなしてるやん」

「体操着に着こなすとかあんねや」

保健室で体操着を借りて、教室で着替えを済ませた。
サイズが一回り、二回り大きくダボついている。動けない事は無いしこれで大丈夫かと気にしない様にしていた。

2人で下駄箱へ向かい、靴を手に取った時何か変だと一瞬で気がついた。
手に持ったらよく分かる。重さが倍以上になっており、指に水が伝い地面へと滴り落ちる。

今日は快晴、濡れる要素は何処にも無い。光一は先に靴に履き替えており、Aの方を振り向いて「履かへんの？」と問いかけてきた。

「あぁ、履くよ」

地面に靴を投げるように置くが、その音は鈍く彼も少し違和感を持ったよう。
小首を傾げるとAの方へと近付き地面に置かれた片方の靴を手に持った。ずっしりとした重い靴、冷たい布

「濡れてへん？」

「…ん、なんか濡れてんねん。不思議よな」

「え、待って履くん？」

「靴これしか無いし履くで。野球したいやん」

濡れた靴に半ば強引に足を突っ込む。グチュ、と嫌な水音がして靴下が水を吸い始める。
ひんやりと足に伝わる水の温度。「うぅわ…」と小さく呟いてはもう片方も意地になって靴を履き、紐を締め、気にしないように。心の中で何度も唱え、光一と駆け足でグラウンドへと向かった。

相手チームには光一やいじめの主犯格。ピッチャーとなったそいつは、打順が回ってくる度打席に立つAの頭や体を狙って球を投げてくる。
デッドボール狙いな事は光一以外のチームメイトと話し合っているのか、皆気味の悪い笑みを浮かべていた。

何とか避けてフォアボールにしていたが、石の時と同様速い球速で腕に当てるとあからさまに喜びで上擦った声を上げ、Aにわざとらしく謝った。