【堂本光一】ブレザー【男主】 (ページ37)

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#37. ページ37

目撃者も居た為、落とした犯人もすぐに捜査され見つかった。同じ学校のクラスメイト、書類送検されたと彼の耳に入った
お通夜、喪服を着て何とか明るく振る舞うAの両親。初めて見る彼の両親、光一は余計罪悪感に潰されそうになる

「…光一…くん？」

座敷にはクラスメイトが数人、棺に入ったAを覗き込んでいた
母親と顔を出した光一、靴を脱いで座敷に上がるといきなり彼の母親から声をかけられ肩をビクッと跳ねさせる
「はい、」と小さく頷き返事をすると、柔らかい笑みを浮かべ「いつもAからお話聞いてました」と思ってもいない言葉をかけられ、驚いたように目を開く

手を合わせる前に少し話そうと促され、それぞれ正座で向かい合わせに座った

「かっこええ子と友達になってん！学校余計楽しなったわ！って1年の頃報告してきてね」

「そぉ…なんですか」

「2年に上がっても「光一が光一が」って笑顔で話してくれてて。」

涙ぐみながら光一に家でのAの様子を伝えていく彼の母親。
家でそんな話してたのか、そんな細かい話まで…と忘れていた事まで教えてくれる。ああ、懐かしい。そんな事もあった、喧嘩もしたと思い出していると母親からの言葉に胸が締め付けられ涙が溢れて止まらなくなった

「光一の事大好きやねん、ずっと笑顔でいて欲しいなぁってずっと話してた。無理させんなよって言ったんだけどね」

「……俺もAの事好きやった、大好きやった」

震える声で彼の母親に述べると、白いハンカチで涙を拭う姿を見せた
息子想いのいい母親なのだろう、なのにそんな人の息子に対するいじめを見て見ぬふりして…とまたグルグルと目が回る程考えていると自身の母親から背を軽く叩かれ、「手、合わせてきぃ」と促される。
次は親同士で話すのだろう。それを察した光一は立ち上がると線香の前に腰を下ろし、手を合わせる

いつの間にか居なくなっていたクラスメイト。もう一度立ち上がり棺の横に腰を下ろすと1人でAの顔を覗き込んだ
死化粧を施されたA。綺麗な顔、長いまつ毛に薄い唇、筋の通った鼻。シュッと無駄な肉の無い輪郭。全てが好きだった

冷たくなった頬を手の甲で撫で、「A〜」と小さく呼びかけるが案の定返答は無い
ふと1週間前の彼の言葉を思い出した

笑ってもええねんで。
ボクもそれ見て頑張んねん。わろてくれた、良かったって。
泣いたら許さへんからな。

涙でぐしゃぐしゃな自分はもう許して貰えないのだろうか。