【堂本光一】ブレザー【男主】 (ページ36)

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#36. ページ36

真っ白なブレザーは真っ赤に染まり、石畳は絨毯のように真っ赤な血が広がっていた
目を瞑り、薄い唇は少し開き眠っているかのような表情。数分後、すぐに救急車と警察がやって来ると、ブルーシートが張られ救急車に乗せられ警察署へと。

Aの両親に連絡が行ったのはその日の夕方、辺りが真っ暗になった頃だった。

「光一？どないしたん、元気が無いけど」

「……」

「…寒いん？手が震えてる…」

「……A…生きてるかな…、Aが…」

ポツポツと小さい声で呟く光一。
彼の母親は不思議に思いながら、一旦落ち着かせようと手を握り「大丈夫、大丈夫」と彼の目を見ておまじないの様に述べた。そんな時。彼の家電が鳴り、彼の母親が手を離して廊下にある電話の元へと向かった。

揉めていた所、落ちた瞬間、流れる血。全て脳裏に焼き付いてしまっている。
数分会話中だった彼の母親が戻って来ると、震えた声で「こういち、」と彼の名前を呼ぶ。俯いたままの彼は返事もせず、自身の手をグッと握りしめ落ち着こうと必死だった。

「………Aくん、亡くなったって」

「…嘘や、A死んだん…？？うそ…うそ、」

「今Aくんのお母さんから電話来てん、お通夜は明日って」

「なんであいつが死ぬねん！！」

お通夜、Aの母親から、そして今日見た現場。やっぱり助からなかったのかと思うと同時に、死ぬなんておかしいと認めきれない感情がぶつかってまとまらない。

そんな光一を母親は頭を撫でて「好きやったもんね」と優しく声をかける。
母親だから分かる自身の子供の気持ち。Aの話をする時は嬉々として今までに無いくらい幸せそうな笑みを浮かべ、色んな報告をしてくれていた。

「明日、行こうね。Aくんに会おっか」

「……A、怒ってへんかな？」

「なんで？」

「いじめられてるA、助けられへんかった…見て見ぬふりしてもうた、今日も揉み合って落ちるところ見ちゃった、…目が合った。」

彼からの突然の告白、喉が締められるような感情がゾッと襲う。
母親の返事も聞かないまま、自身の部屋に戻ってベッドに倒れるように横になった。何も考えたくない、考えられない。今までのような暮らしはもう送れない、心にポッカリとでかい穴が空いてしまった。立ち直ることは出来ないだろう。