#23. ページ23
「……やめたら？光一くんと絡むの」
昼食も食べ終わり、さぁ今から何をしようかと言う所で友人からの言葉に動きが止まる
ギギ…と鈍い音が出そうな程硬い動きで振り返り、「…は？」と小さく絞り出すように問い掛けた。
先程まで王子様！隣が似合うのはAだけ！なんて言っていた友人が、一瞬にして手の平返しをして来た為衝撃が凄かったのだろう。数段階段をのぼり、友人の隣に腰をおろした。
「なんか、あれはアカン気がする」
「アカンって…」
「…光一くんの周りにおった人も、光一くん自身も」
「周りは分かるけど、なんで光一もなん」
友人の言葉に眉をひそめ、不思議そうに問いかける。
別に怒ったりしている訳では無い、なんなら何故彼がそう思うのか疑問で仕方がなかった様子。そんなAを見て、言っていいのか悪いのか頭を悩ませてしまう友人。
「…雰囲気」と悩んだ結果、それしか答えられない。光一とAの友人という関係を壊してはいけないという結果にたどり着き、踏み入れた事は言えずにいた。
「雰囲気てなんやねん」
「雰囲気は雰囲気、ちょっとアカン。」
「意味分からんねんけど」
「分かった。Aは光一くんと友達辞める気は無いんやな？」
いきなりクラスメイトと似たような事を言い出した友人を不審に思いながらも、首を縦に振る。もしかしてこいつもいじめっ子と一緒か？なんて怪しんでいると、Aの返事を見た友人は1つ小さいため息を吐くと立ち上がり、自身の腰に手を当て片足に重心をかけた。
「無いなら言わんとく。光一くんと仲良うな」
「は？いや、意味分からへんて！」
「ほなな」と階段を飛ばしながら降り、自身の教室へと戻って行く友人。
その場で立ち上がり、彼の背を目で追いながら声を掛けるが振り返ることもせず、角を曲がり消えてしまった。
その場で呆然と立ち尽くすA。友人は何故先程まで2人を持ち上げていたのに、いきなり落とすような事を言って帰ってしまったのか。理由はさっぱり分からないし、多分これから先友人から話しかけてくる事は無いだろう。
「なぁ光一、ぼくの友達になんかした？」
「え？なんもしてへんで」
「せやんなぁ。」
用事が終わったのか、クラスメイトを連れて戻って来た光一に階段の上から話しかけた。手すりから身を乗り出すAの頬を軽くぺちぺちと叩く光一、合図かのように階段から降りると隣に並んだAは少し周りの人間に対して不安に思いながら教室へと向かった
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作者名：宮
| 作成日時：2022年10月13日 20時
