【堂本光一】ブレザー【男主】 (ページ3)

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#3. ページ3

何をするにしても距離が近い2人
長く伸びた前髪がお互いの頬に触れる。ああじゃない、こうじゃない、とノートに何か文字を書きながら話し合っていた。

「この解き方分かる？」

「いや、分からへん」

「おれもやねん」

休み時間、2人で来週提出の課題を解いている時。光一はAの整った横顔をじっと眺めていた。
瞬きや瞳を動かす度に揺れる長いまつ毛、薄く、少し口角の上がった唇。
目を細めるとぷっくりと浮き出る涙袋と、目尻のシワ。「ムズいよなぁ」とその母性本能がくすぐられるような笑顔で彼を見ると、光一は口を閉じた。

「あ、そぉ！今日さぁ」

意外とAはよく喋る。
先程まで神妙な話をしていたと思えば、先日あった面白い話をしたり、課題を教えていたと思ったら急に次の授業の話をしたりとコロコロ話題が変わる。

「A」

「え？」

「痩せた？」

「え？え〜、急やなぁ。痩せてへんと思うけどな」

「そぉ？なんか前よりシュッとしたなって思ってんけど」

彼の骨張った人差し指が顔の輪郭や頬を撫でる。
「ひひ、」と恥ずかしそうに顔を歪めて笑うAはそれを拒否する素振りも見せず、ただされるがまま。
そっとAの頬から手を離した彼は、膝の上に手を戻すとグッと人差し指を握り込むように拳を作った

「親でも痩せた云々言わへんのによぉ気が付くな」

「まぁ。1番近くで毎日見てるんは俺やし」

「それはそうなんよな」

光一も少年のような明るい笑みを浮かべ、どこか嬉しそうな様子を見せていた。
Aもそう思ってくれていた、認めてくれた。「それはそうなんよな」というその言葉に内心舞い上がっていた

教室に残るクラスメイトの視線は2人へと注がれる
皆の光一、皆の王子。それを今現在Aが独占している。その状況が気に入らないというような空気が教室中に漂っていた

「光一くん」

「ん？」

「昼休み、一緒に弁当食べへん？」

「ええけど…Aは、」

「ぼくは大丈夫、光一もたまには違う人と食べてもええんちゃう？」

いそいそと課題を引き出しへとしまい、光一の方へ顔を向けてそう述べた。その言葉に彼は渋々頷きながら席を立つと次の授業の時間も近付いている為、席へと戻っていく
Aに対して彼は今背を向けている状態。この機会を逃がすものか、と光一に話しかけていた数人の男子生徒はAの頭を拳で小突く

「…は？」

驚いた表情を浮かべるAを見て、男子生徒は声を殺してくつくつと笑っていた。