【 HQ!! 】忘愛症候群、終。【男主】 (ページ10)

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#10. ページ10

「大瀬」

『ん？』

友達が転校すると、元いたクラスは活気が無くなりいつも聞こえる大きな笑い声もあまり聞こえなくなった。
冬休みなんかあっという間に終わり、もう少しで3年に進級。

最近は外の桜の木も蕾が何個か出来ている。

「なんか女子呼んでる」

『え、なんで？』

「知らん、恥ずかしそうにしてたで」

生憎、頑張っては見たものの何か間違えたようで友達という友達は出来なかった。
ただ淡々と必要な情報は話して、それに返事をして会話は終わり。

1人浮いてるなとは自分でも感じていた。

席を立ち、廊下で待っているというその女子の元へ向かった。

「あ…、大瀬くん」

『どないしたん？』

「あんな、バレー部に結城くんおるやん？」

『ああー、おる』

「その人にこれ渡して欲しいんやけど、」

そう言って手渡されたのは小さい紙。
丁寧に折り畳まれて、「結城くんへ」と可愛らしい丸文字で真ん中に書かれていた。

このクラスでバレー部は俺とその結城って奴だけ。
共通の部活だったし頼んできたのか、と納得し首を縦に振る。

そうすると、女子は嬉しそうに笑うし「よろしくね！」と自分のクラスに帰って行った。

『結城』

「んー？」

『これお前に』

「何これ」

『なんか別クラスの女子が渡して欲しいって。』

そう言うと、少し受け取るのを躊躇ったがしっかり手渡した。
「ありがとー」とお礼を言われ、適当に返事をして席へ戻る。

期待した訳じゃないけれど、他のクラスに俺の名前が知られてるのに驚いた。
あいつよく話してたのかなぁと勝手な想像。

「座れー」

チャイムと同時に担任が入ってくる。
皆一斉に席に座り、担任の話を黙って聞いている。いいクラスだとは思うが、何故か馴染めない。小学生の頃は活発だったんだけどなぁと。

「よし、進級まであと2週間。残りも頑張ってな」

先生のその言葉に皆返事をし、1時間目の準備に取り掛かった。

中学も残り1年。
あいつが居なくなると更に時間が進むのが早くなったような気がする。

存在デカかったんだなぁ、なんか、こんな経験した記憶がある様な無いような。