【 HQ!! 】忘愛症候群、終。【男主】 (ページ9)

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#9. ページ9

最近、昼でも北風が冷たくて外に出る回数も減ってきた。
冬休み前、俺はクリスマスプレゼントも兼ねてマフラーを片手に友達の家に向かった。

もう荷物はトラックで先に運んでもらったらしく、残っているのは少しの荷物と両親、友達の3人だけ。

ここ数日、本当に長いようで短かった。
思い出を作ろうとしても、部活が詰まっていてろくに思い出も作れず。

「A！」

『やっほー』

「来てくれたん嬉しいわー」

『最後やしね、はいコレ。プレゼント』

後ろに隠していた綺麗に梱包されたマフラー。
手渡すとすぐに開封して中身を確認していた。

取り出して、タグを取ってすぐに首にまく友達。
暖かそうなマフラー、選んでよかったと心底思う。
色合いも似合ってるし。

「これあったかーい」

『せやろ、探すの大変やってんで』

「わざわざありがと、冬の間大事に使うわ」

『うれし』

ヘラヘラと2人して笑いながら会話をし、車に乗り込みながら友達の両親が声をかける。
「そろそろ行かなアカン」と友達が苦笑いを浮かべて俺とハイタッチ。

『絶対高校で会おうな』「なんなら中学の試合でも」と約束をして、友達は車に乗り込んだ。
追いかけることはせず、ただ離れていく友達にずっと手を振り続けていた。

俺の唯一の友達、男だからもう泣かへん。と決めていたのにじわじわと涙が目の縁に溜まっていく。

『…これから誰と話せばええんやろ』

クラスでは意外と友達が作れていない俺。
あいつに助けられてばっかりだったな、と振り返ってめちゃくちゃ思う。

まだ部活で話す人がいるだけマシか、と考えながら寒く長い家までの道を歩いて進む。

家の中は暖かく、冷たかった鼻や頬がじんわりと暖かくなっていくのが分かった。

「どうやった？」

『笑顔やった』

「そっか、ええお別れが出来たんやね」

『多分。あいつすぐ向こうで友達作るんやろな』

「Aも負けへんくらい友達作ったらええんよ」

椅子に座り、みかんを剥きながら話す母親。
学校生活は後1年ちょっと。あいつに会うまで、少し頑張ってみようかな、いつ会えるかは分からないけど。

今は前を向いて、自分の事をしっかり管理できるようにならないとダメだな。