【 HQ!! 】忘愛症候群、終。【男主】 (ページ16)

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#16. a side ページ16

「なぁツムツムー」

「んー？」

「この赤髪でタレ目っているん？赤髪とかそう見ないけど」

「まぁ、女性っていうか男の方やしなぁ。今はもうおらへんし」

「え、何それどういうこと？！」

練習の休憩時間、スマホで俺の記事を見ていた。
好きなタイプは、とかいう何のメリットにもならなさそうなニュース記事。

俺の言葉に驚いたぼっくん、そしてなにか思い出したようだった。

「あ、もしかしてあれ？結構前にバスで話した、」

「そー、俺のせいで会えずやわ。ほんまに可愛ええ子やってん、タレ目でつり眉で！」

「詳しく顔は見た事無いけどツムツムがそう言うんならそうなんだろうな…」

と神妙な顔をして呟く。
その後ろから「なんの話ししてるんですか！？」と翔陽くんが顔を出した。

相変わらず元気で、ぼっくんと一緒でムードメーカーの様な存在。
ただ少し疲れるということを知らないようだけど。

「ツムツムの好きだった人の話！」

「好きな人いたんですか！？」

「おるおる、今もずっと好きやで〜」

目を輝かせた翔陽くん、それに笑いながら返事をして練習に戻った。

4月の終わり頃、あと数日で5月。
5月の初めに高校でバレーを教えることになっている。

俺の母校ということもあり稲荷崎で。
今どんなのがいるのかな、と今からワクワクして少し浮き足立っているところがあるかもしれない。

臣くんからも怒られたし。

「なぁサム〜」

「急にどないしたん」

「俺今度稲荷崎にバレー教えに行くんやけど、来る？」

「いや…俺が行ってええもんちゃうやろ、」

「大丈夫大丈夫！兄弟やし何とかなるやろ！」

その日、練習が終わるとすぐに治に電話をした。
教えるなら1人よりも2人、兄弟もいた方がいいだろうと。

十数分治を説得し、何とか来てくれることになった。
また治には久しぶりに会えるし、おにぎりも食べれるし、バレーもやれるし自分にとっちゃご褒美でしかない。

今から月の初めが楽しみで仕方がない。