強い心とわだかまり ページ8
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ポツリポツリと話し始めた登坂先輩の言葉には、重みがあった。
臣「Aの事は失いたくなかった…好きだったんだ、Aの事が。」
嬉しい気持ちと複雑な気持ちがごちゃ混ぜになって、自分ではどうする事も出来なかった。
突然の事に戸惑っていると、ごめんと呟いた登坂先輩が
臣「でもAを手に入れるって事は、同時にエリを失う事になる。
エリの父親は大手企業の社長で、俺はその跡を継ぐように言われてた。
人の目とか会社の圧とか、エリからの信頼とかいろんなものが同時にのしかかってきて、俺はそれを受け入れることしか出来なかった。結局割り切れなかったんだ、自分を」
そう言った。
弱い男だよな、と俯く登坂先輩に思わず手を伸ばしそうになった。
でも心のどこかで、そんな自分を止める自分がいた。そう思うと、
『…私には登坂先輩しかいないってずっと思ってました。』
視線が向けられた感覚がしたけど、口は勝手に動いていた
『私がもし登坂先輩の立場だったとしても、自分を割り切れる自信はありません。
私だってそこまで強い人間なわけじゃないから。
だけど、そこまで一途に先輩に愛されたエリさんはきっと幸せ者です。』
もしもエリさんの父親が社長じゃなかったとしても
彼は間違いなく私ではなく、エリさんを選んでいたんだろう。
その理由は何となくでしかわからないけど、いつかきっと分かる時がくる気がする、そう思った。
臣「…なんで」
そう呟いた登坂先輩の瞳から零れたモノは見えないフリをした。
だって先輩には私が好きになったかっこいい先輩でいてほしいから
『結婚式、私も行きます』
臣「…え、でも」
『返事が遅くなってすみません。かっこいい先輩、期待してますよ?』
そう言うと、クスッと笑った先輩は、
臣「…おう」
そう言って頷いた。
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裕「お前、強くなったな」
大したもんや、と笑いながら私の頭を撫でた中務さんに少しだけホッとしたような気持ちになれた
スッキリしているはずなのに、何故か心にできるわだかまりは、
数「…」
俯く数原さんの姿が見えているから。
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Honey(プロフ) - まゆさん» 感想や温かいお言葉有難うございます!!オチなどはまだ詳しく決めていないのですが、ご期待に添えるようこれからも中務さんとのお話沢山書かせていただきます!これからもよろしくお願い致します(*^^*) (2018年12月3日 15時) (レス) id: 2fd9802047 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - このお話すごく大好きです!みんなも恋愛感情が色々と渦巻いていて読んでいてキュンキュンするし、考えさせられるお話です!私は裕太君が大好きなので主人公ちゃんには裕太君とくっついてほしいですけど、今後の展開がどうなるのか楽しみにしています! (2018年11月29日 11時) (レス) id: 727ab08095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Honey | 作成日時:2018年8月28日 11時