俺だって ページ21
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「それじゃあ、また後で」
一人残された部屋には爽やかな香水の香りが残る
まだ困惑が残る頭を振り、頬を叩いてリセットをかける
玲「朝からお盛んで」
不意に聞こえた声に振り返ればドアに凭れ掛かる佐野の姿
『何して、』
玲「仕事」
『ですよね…』
玲「ったく、サボってんじゃねーよ」
ポケットに手を突っ込んで資料の棚を眺めながら憎まれ口を叩く
『私だって驚いてるんだから』
玲「人生初のモテ期だろ?味わえる時に味わっとけよ」
チラリとこっちを見て鼻で笑った佐野
やっぱりコイツいつまで経っても腹立つ…
『…ん?ていうか、見てたの!?』
玲「丸見え」
『嘘…』
玲「男は大体あんなもんだからな」
「んだよ、違ぇじゃん」
なんて言いながら資料を棚に戻して眉を寄せる佐野に
『ねぇ…「どうするか分からない」って、どういう意味だと思う?』
唯一分からなかった言葉
恋愛なんてご無沙汰で、追いかけることしかしてこなかった私にとって、片寄の気持ちが素直に表された言葉は少し難しかった
玲「…先に有休貰っとくか?」
『はぁ?』
玲「男が嫉妬後にする事なんて一択だからな。ま、俺もそうなるし」
『ヒッ…!』
危険人物がこんな所にまでいたとは…
近くにあった資料ファイルを引っ掴んで守るように抱きしめる
玲「別にお前の事捕って食おうなんて思ってねぇよ」
いつの間に見つけたのか、ファイル片手に呆れたように笑う
玲「でもまぁ、気を付けろよ。思ってるよりこの部署ヤベーから」
『え?』
玲「…俺も、そろそろ限界だから」
『ごめん、ちょっと聞こえづらい…』
俯いてボソッと呟いた佐野に異変を感じて聞き返そうと近付くと、
玲「別に。早く仕事もどれ、サボり野郎」
…やっぱりコイツ腹立つ
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.
裕「お前も大変やな」
「何、盗み聞き?」
裕「この前しとったやつがよう言うわ」
「裕太君も好きなんでしょ、あの人のこと」
上から降ってきた声にムッとして反論すれば、から笑いで逃れる裕太君
裕「恋に焦りは禁物やからな」
そう言うと俺の肩を叩いて資料室の中に入って行く
あぁ、また二人きりになってるし…
「素直になんなきゃだよな…」
俺だって、好きだから。
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Honey(プロフ) - まゆさん» 感想や温かいお言葉有難うございます!!オチなどはまだ詳しく決めていないのですが、ご期待に添えるようこれからも中務さんとのお話沢山書かせていただきます!これからもよろしくお願い致します(*^^*) (2018年12月3日 15時) (レス) id: 2fd9802047 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - このお話すごく大好きです!みんなも恋愛感情が色々と渦巻いていて読んでいてキュンキュンするし、考えさせられるお話です!私は裕太君が大好きなので主人公ちゃんには裕太君とくっついてほしいですけど、今後の展開がどうなるのか楽しみにしています! (2018年11月29日 11時) (レス) id: 727ab08095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Honey | 作成日時:2018年8月28日 11時