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大阪に着き出張の間は親戚夫婦の家に泊まらせてもらえる事になってるので、ホームから出て迎えを待っていると大きな看板が目に入った。
「……Aぇ！group…？新しいアイドルか何かかな。」
若い男の子が六人で並んで写っている。
芸能人なんて会う機会もないし遠い存在だなーって思いながら眺めていると、クラクションが鳴った。
「A遅なってごめんなぁ。ほら、荷物貸し。」
「わざわざ新大阪までありがとう。あれ？奥さんは一緒じゃないんだ。」
「今日は仕事やけど夜には帰ってくるから。ちゃんとシートベルト締めてや。」
他愛もない話をしながら車に乗り込みお世話になる家に向かう。
「そういえばAはまだ、なんや…アイドルとかそう言うの嫌いっていうか男苦手なん？」
「…昔ほどじゃないけど、好きでは今でもないよ。」
「……そうか。ま、前みたいに外に出られるようになって良かったわ。」
「うん、ありがとう。」
車の窓から流れる景色を見つめながら、そろそろ10年も前のこと引き摺らないで前を向きたいと思っても思うようにはいかないものだ、と思いながら小さい息を吐いた。
深く入り込んで来ないで私が話すのを待ってくれるのが秀一お兄ちゃんの良いところだと思うし、義姉の美樹さんもそんな優しいところが好きなんだろうなと思う。
「ここがAの部屋やで。一応掃除はしてるんやけど気になるところとかある？」
「ううん、何から何までありがとう。」
「これくらい全然やで。よし、荷物置いたら下降りておいで。美樹がAのためにっていいお茶用意してあるから。」
「ふふ、はーい。」
仕事は慣れないこともあると思うが普段とは違う環境に胸が躍るのを感じていた。
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続く
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作者名：金木犀 | 作成日時：2024年1月7日 15時
