2 ページ2
-
「すいません。ちょっといいですか？」
寛いでるところ申し訳ないと思いながらも、持っているチケットに書かれた座席は私の席な訳でどいて欲しいと思い声を掛けたら、何も返事がこない。
「あの、すいません。」
『………。』
「あの！聞こえてますよね！」
何度も声を掛けたにも関わらず返事もなければこちらを見る気配もなくて、思わず大きな声を出してしまった。
『…うるさいねんけど。てか、新幹線まで着いてくるとか何やねん。マナーくらい守れへんの？』
「は？…いや、貴方が座ってる席が私の席なんですけど。」
『そうやって俺の隣座ろうって考えてるんかも知れへんけど、迷惑やねん。』
「チケット見てもらったら分かるんですけど…！」
『しつこいねんて。これ以上付きまとうんやったらこっちにも考えあるからな。」
座席が間違ってると声を掛けただけなのに、人のことをストーカーみたいに扱うとか酷すぎる！そう思って一歩前に出たらスーツを着た男性に腕を掴まれた。
「すみません。…弊社のアイドルにそれ以上近づかないで貰えますか。」
「え、アイドル…？ストーカーとかじゃなくてその人が座ってる席が私の座席なんです。」
『そうやって取り入ろうとしてくる奴居るねんなー。』
「いや、だから！そうじゃないんですって。」
サングラス越しでも分かるくらいに睨みつけてくる長身の男の態度に苛立ちが隠せなくなり、スーツの男性に持っているチケットを見てみろ！とばかりに押し付けた。
「………大変申し訳ありません。小島、その席の前がお前の席や。」
チケットを確認すれば眉を下げながら謝罪してくれるスーツの男性。でも移動する時も座っていた男性は文句を言って謝ってこなかった。
ともあれ、ちゃんと自分の席に座れたので胸を撫で下ろした。連日残業続きで眠気もあり大阪に着くまで仮眠を取った。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：金木犀 | 作成日時：2024年1月7日 15時
