寮母さん(仮) (ページ10)

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この鼓動の意味を知るときは来るのかページ10

縁側ですやすやと眠る誠也くんを寝かせたまま、何とも言えない空気が流れる。

「えっと、…おはよう御座います。」

正「…おん、おはよう。誠也くんとこんな時間まで話してたん？」

「気づいたら…はい。」

正「……Aちゃんさ、危機感持ちや。誠也くんも男なんやで。」

最後の言葉が聞き取れず振り向くとすぐ後ろに居た正門くんの目が知らない男の人のような気がして後ずさると壁にぶつかり、顔の隣には正門くんの腕。……所謂、壁ドンをされている状態。

いやいや、何を冷静に分析してるんだ。
こんなところを見られて彼らの夢の邪魔になったら目も当てられないし、申し訳なくて土下座しても足りないくらいだ。

「私と誠也くんが何かあるなんてことはないない。大丈夫。…みんなの夢の邪魔は絶対にしないから！」

すっと身体を離して手を振れば、腕を取られて引き寄せられた。

正「俺がAちゃんのこと、ひとりの女の子として見てるって言うたらどうする？」

聞き返そうとしたら頬に唇が当たった。
一瞬のことで何が起きたが分からなかったけど、目の前の端正な顔立ちの彼にキスされたのだと遅れて気づいた。

なんで、と思うけどきっとさっきの言葉が答えだと分かるから。見つめる瞳が本当だと縋っている様に見えて突き放せずにいた。

2階から聞こえてくる声に慌ててお互い離れ微妙な雰囲気のまま、起きてきたメンバーに挨拶をした。

「…はい！おはよう御座います！」

この時、誠也くんが起きてたなんて思わなかった。