寮母さん(仮) (ページ14)

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最初で最後のお弁当ページ14

翌日みんなより早く起きてお弁当を作る。
目的地は寒いと分かっていながら海に決めていた。
こんな寒い時期にと思われると思う。それでもどうしても彼らと海が見たいと思ってしまったのだ。

この数日で彼らの好きな食べ物や癖。
どういう時にイラッとしたり悲しくなったり、嬉しくなるのかそういうのが分かってしまうくらい私の中には彼らが在る。

お弁当を作りながら今日までのことを思い返していた。
食べさせたい相手がいると思うも一人暮らしの時と違って料理も楽しく感じて、大人数で囲む食卓はとても幸せだった。

気づくと予想よりも量が出来てしまったがきっと食べ切ってくれるだろうと思い可愛くデコレーションしながらお重に敷き詰めた。

彼らも起きてきて、ほんの少し普段よりも空気が寂しい感じがしたけど気付かないふりをして早く行こうと声をかけた。

「ロケ車みたいな車に乗るの初めてだ！」

正「昨日スタッフさんにお願いして借りてたんです。」

福「普通のやったら全員乗れへんしな。」

せっかくの休みなのにその時間を一緒に過ごそうと昨日から考えていてくれたことに胸がいっぱいになる。

末「とりあえず俺運転するわ。」

佐「じゃ、助手席でナビしますね。」

みんなで乗り込み一番近くにいた小島くんの隣に座ろうと思えば、腕を引かれてその勢いで正門くんの隣に座ってしまった。

「…え？」

正「俺の隣に座ってよ。」

顔に熱が集中するも気づかれない様に俯きながら小さく頷いた。

行き先を聞かれ「海！」と答えれば寒いやん！などの意見もあったけど押し通し無事に出発。車内は相変わらずの賑やかさで小島くんが昨日帰りに飲み物などを買ってきてくれたらしく渡してくれた。

草「昨日突然誘ったのに来てくれてありがとう。」

草間くんは相変わらずお兄さんだなぁなんて思いながら笑みを返す。突然正門ゲームと言うゲームをやったり古今東西やしりとりなどをしてあっという間に感じた。

真冬の海は晴れていても寒い。
何をするわけでもなくぼーっと眺めてたら福本くんが木の枝をかき集めて戻ってきた。

「え、それなに？火でもつけるの？」

近づき尋ねれば満面の笑みで返された。
風が落ち着いてきても気温は変わらずなので海に入れるとかはないので、そのままキャンプみたいに暖を取ることになった。