寮母さん(仮) (ページ13)

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その言葉だけで十分すぎるページ13

母から連絡があり明後日には退院出来ると連絡が入った。
それを伝えると自分のことの様に喜んでくれるみんなに私も嬉しくなった。

自分の部屋でもうお別れかー…なんて感傷的になっているとコンコンとノックされた。

誰かと思い開ければ真面目な顔押した小島くんが居た。
どうぞ、と言えば何かを考える様な仕草を見せるも「じゃあ」と入ってくる。

何のことかは大体予想がついてた。
東京進出の話だろう、と。私も父と母が戻れば東京の家を引き払いに一度戻ろうと思っていたし、それを伝えるいい機会だと思っていた。

小「えっと、…俺ら東京に拠点移すことになりました。」

「おめでとう！みんなの夢にまた一歩近づいたね！」

小「……なんかもっと残念そうにするかと思ってたわ。」

小島くんの表情は少し寂しそうだった。

「素直に言えば寂しいよ。でも、たった二週間でもみんなが頑張ってきたのを1番近くで見てきたつもり。だから寂しいよりも嬉しい方が大きいよ！」

そう言えば小島くんも嬉しそうに笑ってくれた。
まだまだ二十代前半で色んな理不尽に向き合って、楽しいことばっかりじゃなくても踏ん張ってるその姿を見てきたから、今よりもっと輝いてほしいと思った。

小「いつも笑顔で見送って待っててくれたやん。それめっちゃ嬉しかったです。俺だけじゃなくてみんな。」

「それしか私に出来ることはなかったから。」

小「それが一番嬉しかった。あと俺らのことをいい意味でアイドル扱いせんところとか。」

「えー。そんなことないよ。多少はしてたはず！」

してなかったです、と揶揄う瞳はどこか真剣で。
吸い込まれそうだと思った。

小「明日、俺ら全員オフなんですよ。どっか出かけませんか？」

突然のお誘いだけど予定も何もないのでOKすれば、どこ行きたいかとか考えといてくださいと言われて10時頃に出ると言われて小島くんはそのまま部屋を出た。

一緒に過ごせるのももうあと僅か。
なら、やっぱり最後は笑って過ごして笑顔の彼らを目に焼き付けておきたい。

母からの電話がなければ知らなかった存在。
交わらなかった人生だと思う。それでも交わって知ってしまった。キラキラ耀く彼らのことを。

明日はたくさん思い出を残そう。
そう決めて眠りについた。