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診察室通り越して処置室に通された翔太は青白い顔をして奥歯をカチカチ言わせている。
ベッドに寝かせ、ラウが備品のジャージに着替えさせてくれる。
「7.4℃、今んとこ微熱だけどこれから上がるか」
「湯たんぽ入れますねー」
ラウがお湯を入れたペットボトルで作った簡易湯たんぽをタオルで包んで腋下と鼠径に挟む。
「喘鳴もないし、クリアだね。てことは…」
雨に当たっただけが原因ではなさそうな指先の冷たさ。
下瞼を捲ると見事に真っ白。
「ラウ、採血お願い」
「はい。終わったらひーくん呼んで大丈夫ですか？」
「うん。あんまり泣くようなら困るけど」
「見ときます」
「宜しくね」
ラウに呼ばれたひーくんは意外にもとてもいい子でじっと翔太のそばに座っていた。
「今日はお時間遅くなって申し訳ありません、お大事にどうぞ」
「気にしないで。あ、これ。だめじゃなかったらあの子に」
ゴソゴソとポーチの中から棒付きのチョコを取り出した患者さん。
「チョコレート大好きだから喜ぶと思います」
「良かったわ」
ニコッと会釈して診察室を出て行く。
さて、次は問題児の番か…
「せんせ、翔太は？」
ふっかは診察室のイスに座るより先に処置室の方に目をやる。
「ちゃんと見えなかったけど、あれ、翔太だよね？」
「それより先に自分の診察でしょ？」
「わかってる、けど」
「じゃあその話は終わったらね。テストどうだった？」
「忘れた」
「お休み出来るならしてねって言ったのに、ふっかが絶対受けないとだめなテストだって言ったんじゃん。ちゃんと出来た？」
「わかんない」
「具合、あまり良くなくて勉強出来なかった？」
「……そんなことない」
「そっか。じゃあ、胸の音聞かせてね。今日はびっくりすることあったからドキドキしてるかもしれないけどね」
「ん、…」
ドキドキどころじゃない、休ませて欲しいと訴えるふっかの音。
本人も自覚はあるらしい。
「…せんせ、」
「ん？」
「俺、家で大人しく寝てるから…あのね、だから…」
「うん？」
「………ぃんは、ゃ、だ…」
ポツリと漏らす本音。
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うの(プロフ) - ぽんさん» コメントありがとうございます。細々と更新していきますので暇な時はまた読みに来て下さいね!(^^)! (2022年8月9日 16時) (
レス) id: 312a545c23 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん - 突然コメント失礼します。密かに読ませてもらっています。紫さんの出てくる作品が好きです。こぎつね、もしや紫さんもレギュラー参加の予定ですか？可愛いですね。これからも色んな短編集を楽しみにしています。 (2022年7月30日 15時) (レス) id: 06d404138f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うの
| 作成日時：2021年11月1日 11時
