S.S.S (ページ39)

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夕食も食べ終えて、誰ともなく1つ空いたイスに目を遣る。

「てる兄遅いなぁ」

ひかるは今日、外に〝借り〟に行っている。

本当は誰かパートナーと行くべきなのだがワケありなメンバーも多い俺たちはなかなかそうもいかない。

「ふっか、お風呂入っておいで？」

だてさんの声に振り返ると一番風呂から上がったあべちゃんがラウールの髪をタオルで拭いている。

「さくまも行くー！」

読者していたさくまが立ち上がり、手を引かれた。

「わっ、あぶねーよ」

「にひひ」

ちゃぷ、とお湯を混ぜるとフワッと花の香りがした。

「すごいねぇ、お湯真っ白だよー」

「へー…あったまるー…ふあぁぁ～」

あったかいし、いい匂いだし、眠い…

「あれ？今日はひかる待ってるんじゃなかったの？」

「んー…待ってる……なー、さくま、」

「ん？何？」

「白って何の色？」

「えっとねー、」

雪でしょ、豆腐でしょ、砂糖でしょ、小麦粉でしょー、あとはー…

さくまの教えてくれる白い物を聞きながらウトウトしていると、リビングの方が賑やかになった。

「俺上がる」

「えっ、ちょっと待ってよ」

さくまが慌てて追いかけてきたが、濡れた髪も構わずリビングに急いだ。

「ひかる、」

背負ったままの鞄はパンパン。

振り返ったひかるに鞄ごと抱きつくと、バランスを崩したひかると2人で床に転けた。