検索窓
今日:9 hit、昨日:11 hit、合計:68,796 hit

9 ページ34

「あの、…たすけてくれて、ありがとうございます…」

初めて聞く子どもの声。

「俺じゃなくて、兄貴が」

「…でも、ぼくにごはんをたべさせてくれたのは、あなただ」

「……名前。聞いてもいい?」

「りょうへい、です」

「りょうへい」

「はい」

うつむき加減で揺れる焦げ茶の髪。

フサフサのしっぽはそれよりも少しだけ黄色みがかった明るい色をしている。

「…もう、だいぶよくなりました。このごおんは、いっしょうわすれません」

そう言って子どもは今度こそ立ち上がる。

「いや、待って待って?」

「おせわになりました」

「だから待ってって。あのね、りょうへいを助けたのは兄貴なの。俺は兄貴に頼まれてりょうへいのお世話しただけ。だから兄貴が帰って来る前にいなくなられると困るんだけど」

「でも、にんげんのせかいで、ぼくはいたんです」

…いたん?

「いたんって何?」

「………いや、なんでもないです。とにかく、ぼくは」

「ただいまー」

押し問答をしていると兄貴が帰ってきた。

10→←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
166人がお気に入り
設定タグ:SnowMan
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うの | 作成日時:2021年10月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。