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兄貴が出かけてしばらく経ったころ、子どもがやっと目を開けた。
しばらくパシパシとまばたきしたり、キョロキョロと部屋の様子を窺ったり。
「あ。起きた」
「！！？？」
俺と目が合うと子どもは目をまん丸くして飛び起きた。
が、すぐに布団にへにゃっと倒れ込む。
昨日あんなに熱が高かったんだ、当たり前だろう。
「何もしないから大丈夫。まだ熱ある。待ってて、今お粥持ってくるから」
兄貴が作り置いてってくれたお粥をよそって子どもの前に差し出すと、小さな手がおずおずと受け取る。
しかし食べようとはせずじっと見つめているだけ。
「貸して？」
俺は子どもが持ったままの茶碗から一口掬い、匙を自分の口に運んだ。
「毒なんか入ってない。大丈夫」
その匙で一口お粥を掬い、子どもの口に運ぶ。
こくんと子どもが飲み込む。
また一口運ぶ。
気づくと茶碗は空になっていた。
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作者名：うの
| 作成日時：2021年10月23日 18時
