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｢……私ね、声がコンプレックスなの。｣
先程の大勢を虜にする歌声とは打って変わって、自信なくか細い声で、呟いた。
｢周りは�猯�れた声って珍しくて羨ましい�瓩箸��犧廼�の武器�瓩辰童世Δ韻鼻⊇蠢Г覆い發里佑世蠅鵬瓩�ないよ。
はあ、私も生まれ変わるなら女の子って感じの可愛い声がいいな。｣
正直、驚いた。
皆が認める武器を、彼女自身が認めていないことを。
これは当事者になってみなければわからないことなのだろうか。
｢僕は好きだよ、そのハスキーボイス。個性があって、人の目を惹き付けるその声が。本当に羨ましいって思う。｣
やっとAさんが顔を上げた。頬には涙の跡が残っていた。
｢実は僕、この打ち上げに参加したのは皆とワイワイしたいからじゃなくて、Aさんを軽音楽部に勧誘したかったからなんだ。……その声が魅力的で、ボーカルが似合うんじゃないか、って。｣
｢……だから 軽音楽部に入って欲しいな、なんてね。
仮に入らないとしても すぐにとは言わないから、自分の声、徐々にちょっとでも好きになって欲しい。｣
｢……なんか、ありがとう。木全くんのおかげでちょっと自信持てた気がするな。｣
へへ、と彼女はへにゃっと笑った。うん、笑ってるほうが似合ってる。
｢で、あそこに戻りたい？それとも帰る？？｣
｢……帰りたい。今日は友達に誘われたから来ただけ。意志があって来た訳じゃなくて。｣
だからあのとき微妙な反応をしてたんだな。
｢よし！じゃあ2人で抜け出そう。駅まで送って行くよ。｣
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作者名：今西 | 作成日時：2024年1月23日 22時
