ようこそ、歌姫。 (ページ6)

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M5 ページ6

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Aさんの十八番は、平成初期頃に流行った多数の人が知っているような曲だった。

そして、抜群に上手かった。感極まって泣きそうになった。

周りも僕と同じ意見のようで、｢Aさんって歌うまいな～｣｢もっと聴きたい｣と絶賛の嵐だった。

そんな当の本人は。
｢あ～、ほんとに恥ずかしい……なんか暑いから外で頭冷やしてくるね。｣

と出ていってしまった。

急にここで僕は急に思い出したよ、何故ここに来たのかを。

Aさんを軽音楽部に勧誘する為じゃないか。

いま、Aさんが外で1人でいるってことは、第三者がいないから話がしやすい。え、絶好のチャンスじゃん。

僕もAさんの少し小さい背中を追いかけて部屋を出た。
Aさんはどこにいるのだろうか。お願いだからトイレ以外であってくれ。

頭冷やすって言ってたから外かな？
なんとなくの勘で外に向かってみると、そこにはカラオケの駐車場の人目のつかない所で膝を抱えてうずくまっているAさんの姿が見えた。

｢Aさん！！！！！！｣
Aさんを呼んですぐ近くに駆け寄った。

｢大丈夫ですか？どこか具合悪いですか？｣
と問いかけても何も言わないし、なんなら顔もあげてくれない。

｢、、何か言ってくれないと何もわからないですよ。｣

微かに鼻をすする音が聞こえた。もしかして泣いてる？
一向に上げない顔を覗くように、

｢俺で良かったら話、聞くよ。｣

▼きまたは｢どしたん話聞こか｣をとなえた！