ようこそ、歌姫。 (ページ3)

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僕がこの高校に入学したのは、この地域では珍しい軽音楽部があるからだ。

もともと中学時代は他の部活に入っており、趣味程度でベースを弄るくらいだったが、やっぱり軽音楽ってかっこいいよな～と感化され、この部活に入るために此処を目指した。

だから勿論、体験入部期間中はずっと軽音楽部に入り浸っていた。

ので、もう先輩たち(って言っても2人だけ)から既に名前を覚えてもらっていて。

「うぇーー翔也くんまた来たんーー？？！」
って言われるのがルーティンの一貫となっていた。

そんなある日の放課後。

「そういえばさー翔也くん、知ってるかな。1年生の子でさ......」

どうやら景瑚くんは人探しをしているらしい。
特徴を聞いてみると。

「えっとー、つり目でハスキーボイスの女の子。」

それ、僕のクラスメイトです。

淡白な面持ちで言うと、景瑚くんは驚いたように、

「絶対！！！！その子！！！！！軽音に連れてきてよ！！！！！あの子ボーカル向きだと思うから！！！」

純喜くんよりとぼそっと付け足すと、購買のパンを頬張っていた純喜くんから鋭い視線が向けられた。

正直に言うと、Aさんは僕からしたらキラキラした太陽みたいな人。だからこんな僕が話しかけても良いのかと恐れ多い気持ちになる。

だけど、これを機にAさんとお近づきになれるかもしれないから、少し頑張ってみようかな。

こうして、3人(？)のAさんスカウト計画が始まったのだ。