魔女様と俺 【zm】 ページ48
しゅるる、と音をたて、首に巻き付く彼。
『いい子』
彼のざらついた鱗を撫でる。
彼は気持ち良さそうに目を細めた。
『帰ろうか』
殺戮の魔女は煙のように消えた。
『ゾム』
血まみれと化した屋敷。
愛しの魔女の声が自分を呼んだ。
zm「A！呼んだ！？」
『おぉう、なんで排水溝から』
蛇であるゾムにとって排水溝や屋根裏などの狭い場所は自身の得意分野である。
しゃああ、と音をたてながら、彼女の足元にすりつく。
目の前には、今にも息絶えそうな青年。
手には、清水。
あぁ、なるほど。
zm「Aを消そうとして、返り討ちにされたんか」
『当たり』
ゾムは青年のそばに寄る。
青年は蛇が現れたことに、驚いた様子。
zm「馬鹿やんな。Aを殺そうなんて」
清水の入ったビンを弾き、遠くへ飛ばした。
zm「殺戮の魔女に、手を出そうなんて」
彼は愉しげに歪んだ笑みを浮かべる。
zm「命知らずやなぁ」
蛇の牙が、青年の喉元に埋め込まれた。
殺戮の魔女。
彼女についた呼び名だ。
前世紀にて、とある国を二つ、村を三つ、城を七つ燃やしたことからつけられたらしい。
彼女は争いや戦争の火種をばらまく忌まわしき魔女と恐れられていた。
『はぁ、恥ずかしい呼び名がついたなぁ』
彼女は火種をばらまくことなどしていない。
彼女が燃やした国は、魔女狩りにより、無実の人間を何人も火にかけていた。
無実だとわかっていても、私欲のために、燃やしたのだ。
『火には火を、てね』
人間からは恐れられる彼女。
魔女からは憧れの目を向けられることもある。
ゾムは彼女が大好きだ。
暴れることが好きで、限度が過ぎることがあり、契約を破棄されてしまうこともあった。
彼は、その分、寂しがりやだった。
『ゾム』
彼女の腕に巻き付く。
指先で彼の背中を撫でた。
『いい子だね』
彼女に褒められることが、何よりのご褒美だった。
『さて、燃やそうか』
指を鳴らすと、たちまちに屋敷に火が生まれる。
やがて、屋敷は炎に包まれた。
その光景を、ただ見つめる。
zm「なぁ、Aもいつか火に包まれてしまうん？」
『時が来たらね』
彼女は微笑んだ。
『その時は、ゾムも連れていくから』
その答えに、ゾムは首筋にすりついた。
(ゾムは天国と地獄ならどっちがいい？)
(Aがいないなら、天国は嫌や！)
(地獄だと貴方の好きな食事が出来ないかもよ？)
(え？鬼食えへんの？)
(強いな)
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カスタード - 今更感パないけど、22ページの奴、[付き人と（取り）憑かれた人］なのかな？ (2020年6月5日 16時) (
レス) id: 7ad0432a29 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 学校パロがどストライクすぎてやばい。 (2020年5月11日 3時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 「ジェイソンと手を組仲間を売っている青年」ってwショッピ君ですよねww? (2019年2月14日 13時) (レス) id: 3cb2acd302 (このIDを非表示/違反報告)
くう(プロフ) - 続編……！！！ありがとうございます！！！楽しみにしてます！！！ (2019年2月5日 19時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 続編希望します！主との掛け合いが特に好きです！頑張ってください！ (2019年2月2日 15時) (レス) id: 71789b4f54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らすとうさぎ | 作成日時：2019年1月12日 21時
