魔女様と僕 【ut】 ページ45
『この子をください』
使い魔を売買する闇市場。
黒いローブの中から出された指は、ひとつの檻を指していた。
「しかし魔女様。此方はいわゆる出来損ないでして…」
『いいの』
檻の中で震えている彼に、優しく触れる。
『この子がいい』
毒の魔女は、金貨を四枚置いた。
彼女の周りにふわり、と紫煙が舞う。
紫煙の中から現れた手が、彼女の肩に添えられた。
ut「はぁい、魔女様。お呼びで？」
『食事だ。鬱』
彼女の足元には、倒れこむ幾人かの傭兵の姿が。
首を抑え苦しむ者、痙攣を起こし涎を垂らす者、荒い呼吸が絶えない者。
ut「お客さん。魔女様の息を吸いましたなぁ」
「っ、ぐぁ」
ut「魔女様は、毒を吐くんやで。ただの人間には致命的になる猛毒をな」
鬱はにこりと笑い、一人の傭兵の髪を掴んだ。
そのまま顔を上げさせ、紫煙を吹きかける。
ut「あぁ、僕には毒は効かんで。毒は大好物なんや」
なんせ、僕は出来損ないなんでな。
鬱は呟いた。
ut「特に魔女様の毒は絶品なんや！せやから」
口元の牙を光らせる。
ut「ちゃあんと、美味しく頂かないとな」
びちゃり、と鈍い音がした。
暫くし、鬱は彼女の首筋にすりつく。
『鬱』
ut「やってー、A、あんまり呼んでくれないんやもん！僕、使い魔やのに！」
『毒の調合するから、あんまり呼ばないって言ったじゃない』
ut「僕はAと一秒でも離れたくないねん！」
『うわ、愛が重い』
すりつく鬱に呆れを感じながらも、彼女は髪を撫でる。
鬱は烏の使い魔だ。
烏は魔女世界ではメジャーな使い魔で人気もある。
しかし、鬱は他とは違う出来損ないだった。
鬱には人間より毒を好む烏だったのだ。
使い魔の烏は、清水や毒といったものが苦手だ。
鬱は、清水は苦手だが、毒を食べる。
そんな鬱を、周りは出来損ないとし、檻の中に長年閉じこめていた。
彼女が、鬱を買うまでは。
『私の吐く毒に耐えられる使い魔を探していたんだ。
貴方がいい。使い魔になってくれる？』
鬱はあの日を鮮明に覚えている。
ut「僕、Aの毒で死にたいな」
『死ねないでしょ。私の毒が、好きなくせに』
ut「Aのことも好きやで」
烏の姿に化け、彼女の腕に留まる。
紫煙は、吐かれていた。
『鬱、食事』
ut「はぁい、魔女様」
毒の魔女は、愛でるように烏を撫でた。
(私の毒ってどんな味？)
(せやなぁ。癖になるニコチンの味)
(分かる人には分かる味やんけ)
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カスタード - 今更感パないけど、22ページの奴、[付き人と（取り）憑かれた人］なのかな？ (2020年6月5日 16時) (
レス) id: 7ad0432a29 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 学校パロがどストライクすぎてやばい。 (2020年5月11日 3時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 「ジェイソンと手を組仲間を売っている青年」ってwショッピ君ですよねww? (2019年2月14日 13時) (レス) id: 3cb2acd302 (このIDを非表示/違反報告)
くう(プロフ) - 続編……！！！ありがとうございます！！！楽しみにしてます！！！ (2019年2月5日 19時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 続編希望します！主との掛け合いが特に好きです！頑張ってください！ (2019年2月2日 15時) (レス) id: 71789b4f54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らすとうさぎ | 作成日時：2019年1月12日 21時
