太陽と月 【em】 ページ19
太陽は光だとするなら、月は闇である。
月の化身として生まれ、地球を闇から救い、輝かせるエーミールは、そんな事を考えた。
月は太陽がないと輝くことすら出来ない。
太陽と月は、二つで一つなのだ。
『エーミール…？』
em「あぁ。起こしてしまいました？」
『ううん、もうすぐ日が昇るから』
小さく欠伸をし、彼女は眠たげな目を擦る。
Aは太陽の化身。
エーミールよりも先に生まれ、地球を見守る役目を果たしていた。
em「おや、もうそんな時間ですか」
太陽と月は、活動する時間が異なる。
Aが起きている朝、昼ではエーミールは眠りにつき、エーミールが起きている夜は、Aは眠りについている。
二人が共に起きている時間は夕方の一時のみ。
この時間を、エーミールは楽しみにしていた。
『地球はどう？』
em「比較的に平和ですよ。昔は世界中が争いをしていた時期に比べれば」
『いつの話してるんだか』
長い間、共にいる彼ら。
地球では冬が近づき、彼女が起きている時間が減り始めていた。
em「あれが兎。隣が馬です」
『馬って意外と大きいのね』
em「ちなみにあの海で優雅に泳ぐのは鯨というものです」
『鯨、大きいな！！？』
彼女が眠りについている間、エーミールは地球の様々な知識を蓄え、彼女に教える。
図鑑はない。教科書もない。
実物を目で見る特別授業だ。
em「今の時期なら、冬の大三角形が見れますよ」
『冬の…？星のやつ？』
em「はい。あってます」
『へぇ、綺麗なんだろうな』
はっ、とエーミールが息を詰まらせた。
自分が昼を見たことがないように、
彼女は、夜を見たことがない。
朝方と夕方では、太陽と月が混じりあうため互いが起きていることが可能だ。
だが、彼女は夜だけは目覚めない。
つまり、星なんて見たことがないのだ。
『見てみたいな、星』
キラキラと月とは異なる光を見せる星。
きっと彼女は気に入るだろう。
エーミールは、襲う睡魔に逆らい、彼女に声をかけた。
em「いつか見せます！絶対、私が！」
エーミールが珍しく声を上げた。
彼女は目を丸くする。
ずるり、とエーミールの体が崩れる。
エーミールの活動時間が終わりを迎えたのだ。
閉じていく視界の中、まだ活動していた聴覚に聞こえた彼女の声。
『楽しみにしてるよ』
日が昇り、エーミールは目を閉じた。
(太陽と月の化身がいるなら、星の化身を作ればいいのでは？)
(その考えはありませんでしたね)
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カスタード - 今更感パないけど、22ページの奴、[付き人と（取り）憑かれた人］なのかな？ (2020年6月5日 16時) (
レス) id: 7ad0432a29 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 学校パロがどストライクすぎてやばい。 (2020年5月11日 3時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 「ジェイソンと手を組仲間を売っている青年」ってwショッピ君ですよねww? (2019年2月14日 13時) (レス) id: 3cb2acd302 (このIDを非表示/違反報告)
くう(プロフ) - 続編……！！！ありがとうございます！！！楽しみにしてます！！！ (2019年2月5日 19時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 続編希望します！主との掛け合いが特に好きです！頑張ってください！ (2019年2月2日 15時) (レス) id: 71789b4f54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らすとうさぎ | 作成日時：2019年1月12日 21時
