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涙が止まらなくて、もうどうしようもなくて、いても立ってもいられずに病室を勢いよく飛び出した。
病室の外に隠れていたかのようにウジが立っていて、腕を掴まれる。
「今の二人の話聞いてる限りだとまだ諦めなくていいってことだよね?」
「そんなこと一言も言ってない」
「でも揺らいだんでしょ、ヌナの気持ちも」
「ウジには関係ないよ!」
思わず言ってしまった。
あの時、ジスに言われて傷ついた言葉を今度は私たちのために動いてくれているウジに向かって言ってしまった。
申し訳なくてさらに涙が溢れてくる。
「ごめんなさい...今のは本心じゃない...」
「わかってるよ、Aヌナがそんなこと言わない人だってわかってる。動揺してるんでしょ、やっぱり」
「私の話、もう一度聞いてくれる?」
「もちろん」
あの時、私がこの人たちから離れなくてはいけなくなった時と同じようにウジに話を聞いて欲しくなった。
結局あの時の私から何も変われていなかったんだ。
二人で病院内の小さなカフェに入って向かい合って座る。
妙な雰囲気につい逃げ出したくなってしまう。
「ヌナ、正直になるのがそんなに怖い?」
「きっともっとジスを悲しませてしまうから」
「シュアヒョンはそんなに弱い人じゃないと思うけどな」
「私がいなくなったからってあんな疲れてるの見てたらそんな根拠は何もないよ」
「それは理由もわからないままに去っていったからでしょ、ヌナが」
「そっか...それもそうだよね...」
飲み慣れているはずのコーヒーもいつもより苦く感じてしまう。
「気持ちはもう大きく傾いてるんじゃない?久しぶりにヒョンと会ったから」
「でも私は負けず嫌いで頑固だから自分の気持ちに正直になることができないみたい」
「そう思ってるだけでも今のヌナにとっては進歩だね。そんなふうに考えられるってことはやっぱり心のどこかでこのままじゃダメだって思ってるからでしょ」
ウジの言葉が図星で何も言葉にできなかった。
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miwol(プロフ) - るるるさん» いえいえ!終わりを迎えさせていただきました!ここまで楽しく読んでくれてありがとうございました!思ったようなエンディングを迎えてあげることができず....またシュアを書ける機会があれば幸せなシュアをご提供しますね^_^ (2020年7月26日 23時) (レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - miwolさん(*^^*)お返事ありがとうございます…!シュア編…彼の純愛に私まで涙が…(TT)あともう少しで終わってしまうのは寂しいですが、楽しみにしています…! (2020年7月25日 23時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
miwol(プロフ) - るるるさん» コメントありがとうございます!シュアペンさんなんですね!ごめんなさい..実はもうこのお話はこのまま終わらせるつもりで...この後少しシュア編を付け足していくのでそちらでお楽しみいただければと... (2020年7月22日 0時) (レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!ジョンハンの長編から読ませていただいて、一気に読んでしまいました!素敵なお話ですね(*^^*)シュアペンなので、幸せになってほしいです… (2020年7月20日 16時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miwol | 作成日時:2020年2月1日 23時