97 joshua side ページ47
「どうにかしてでも彼女の記憶に残りたいってもがいた自分も間違いじゃなかったんだなって。そうやって言ってくれた時、暖かい穏やかな微笑みを浮かべてくれてそれがすごく嬉しかったんだ」
「良くやったよ、お前も。すごいな」
スンチョルがあまりにも優しく抱きしめてくれるから余計に泣けてきた。
「今の今まで泣けなかったんだろ。泣けてよかったな」
そうだ、ホントに別れてきてからここまで泣くことすらできなかったんだ。
Aの話をし始めてくれたのはそういう事も考えてのことだったんだと悟った。
「ありがとう、スンチョル...」
「ありがたいと思ったならこれから俺にもう少し優しくしてくれよな」
「うん、考えておく」
「そこはすぐにうんって返事するとこだろ」
次の日、仕事がいつもより少し遅めだったから気分転換にと思って一人で散歩をしに外に出た。
少し距離があるけどなんとなく行きたいところがあってそこに向かって歩く。
普段一人で散歩なんてしないけど、たまにはこういうのもありだな。
音楽を聴きながら、景色を楽しみながら、朝の気持ちいい空気を吸い込んで歩く。
いつの間にか目的地に着いていた。
だけど目的地一歩手前、今ここに来るんではなかったと少し後悔して足が止まった。
着いた先には金木犀の香りが広がる街路樹。
そこに立ち止まって金木犀を見上げている女性が一人。
運命のいたずらってあるだなぁー。
話しかける事もできなくてただただその姿を見守った。
しばらく金木犀を眺めた彼女は大きく息を吸い込んで、俺の大好きな笑顔を見せた。
もう今日の彼女は俺のことを忘れていて、話しかけたところで知らない人に話しかけられた気分になるんだろう。
だけどやっぱりあの香りだけは覚えてくれているんだと思うとそれだけで心がほっこりした。
さっきまで運命のいたずらのせいでここに来たことを後悔していたのに、今度はここに来て良かったとさえ思えるようになった。
俺にとっても忘れることのできない香りになった。
彼女を心に抱いてこの香りを身に包まれながら、これからは前を向いて生きていくよ。
〜fin〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miwol(プロフ) - るるるさん» いえいえ！終わりを迎えさせていただきました！ここまで楽しく読んでくれてありがとうございました！思ったようなエンディングを迎えてあげることができず....またシュアを書ける機会があれば幸せなシュアをご提供しますね^_^ (2020年7月26日 23時) (
レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - miwolさん(*^^*)お返事ありがとうございます…！シュア編…彼の純愛に私まで涙が…(TT)あともう少しで終わってしまうのは寂しいですが、楽しみにしています…！ (2020年7月25日 23時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
miwol(プロフ) - るるるさん» コメントありがとうございます！シュアペンさんなんですね！ごめんなさい..実はもうこのお話はこのまま終わらせるつもりで...この後少しシュア編を付け足していくのでそちらでお楽しみいただければと... (2020年7月22日 0時) (レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！ジョンハンの長編から読ませていただいて、一気に読んでしまいました！素敵なお話ですね(*^^*)シュアペンなので、幸せになってほしいです… (2020年7月20日 16時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miwol
| 作成日時：2020年2月1日 23時
