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時々ふと思うことがある。
自分が忘れてしまっても自分のことを覚えてくれている人ってこの世にどのくらいいてくれるのだろうかと。
人は関わらなくなればいつの間にか忘れていくもので、小学校、中学校、高校、大学と同じクラスで顔見知りだったなんてくらいの人は覚えていない。
自分も忘れ去られる立場の人間なのかもしれないと思うと今感じている恐怖の理由はこれなんだと思い知った。
ジスとは忙しさのあまり会える時間も少なくなって、そんなの仕方ないことだし、彼がどれだけの仕事をしているのか分かっているから我慢だってできていた。
だけど、不安に押しつぶされそうなほどのストレスが私を我がままにさせるようだ。
自分には時間が限られている、その思いで時間が過ぎ去っていくことに焦っていたのかもしれない。
毎朝の電話は朝かけることができなくても仕事の合間を縫って必ず電話をしてきてくれるジス。
今日もそうだった。
「A、遅くなってごめんね」
「ジス....会いにきてよ...」
「今日も会えなくてごめんね、遅くなるんだ。4日後、早くても4日後なら会えるから」
「今すぐ...」
涙も溢れてくるし、頭の中ぐちゃぐちゃだしでジスを困惑させるだけなのは分かってるのに。
「今は仕事で抜けられないんだ、ごめん。帰れるの深夜になると思うけど起こしてもいいの?」
「会いたい...」
「終わったら電話する」
最後の声のトーンがいつものジスじゃないみたいで当たり前だけど怒らせたよね。
そのあとは何も手につかなくてひたすらベッドにうずくまり嫌なことばかり考えてしまっていた。
ご飯の時間になっても食べる気もしないし、夜が更けていっていることにすら気がつかず、ただただ泣いていた。
いつの間にか泣き疲れて子供みたいに寝てしまっていたようでジスの電話で目が覚めた。
時計を見れば深夜2時を回ろうとしていた。
「もしもし...」
「もしかして寝てた?ごめん、起こして」
「なんで謝るの?私がわがまま言ったのに」
「今から会える?外にいるんだけど」
その言葉を聞きながら窓の外を見れば見慣れない車が家の前に止まっていた。
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miwol(プロフ) - るるるさん» いえいえ!終わりを迎えさせていただきました!ここまで楽しく読んでくれてありがとうございました!思ったようなエンディングを迎えてあげることができず....またシュアを書ける機会があれば幸せなシュアをご提供しますね^_^ (2020年7月26日 23時) (レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - miwolさん(*^^*)お返事ありがとうございます…!シュア編…彼の純愛に私まで涙が…(TT)あともう少しで終わってしまうのは寂しいですが、楽しみにしています…! (2020年7月25日 23時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
miwol(プロフ) - るるるさん» コメントありがとうございます!シュアペンさんなんですね!ごめんなさい..実はもうこのお話はこのまま終わらせるつもりで...この後少しシュア編を付け足していくのでそちらでお楽しみいただければと... (2020年7月22日 0時) (レス) id: 1e4145c4eb (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!ジョンハンの長編から読ませていただいて、一気に読んでしまいました!素敵なお話ですね(*^^*)シュアペンなので、幸せになってほしいです… (2020年7月20日 16時) (レス) id: f77ccef066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miwol | 作成日時:2020年2月1日 23時