episode32 ページ31
猫のウォヌが来てからというもの、めっきり俺の相手をしてくれなくなったような気がするのは気のせいだろうか。
休みの日には目覚ましもかけずに先に起きた方がまだ寝てる方を起こすっていうのが休日の日常だったのに子猫が来て初めての休日、その日常が初めて崩れた。
自然と目が覚めたから先に起きられたと思って寝ているであろうAを起こそうと隣を見れば、すでに誰もいなくて隣にいた温もりがないくらい。
先に起きたのに起こしてくれなかったのかとガッカリしながらリビングに行けば子猫と戯れるAの姿があった。
「あ、おはよう！」
「先に起きてたんだね」
「ウォヌがお腹の上に乗ってきたから目が覚めちゃって遊んであげてたの」
「ふーん」
こんな子猫なんかに嫉妬してるわけではないけど、なんだかAを取られたような気がして寂しくなる。
最大の恋のライバルが現れた感覚だ。
しばらく俺の相手はしてくれなさそうな雰囲気だったから一人でテレビを見ながらふてくされてた。
「コーヒー入れたところなんだけど飲む？」
「うん、飲もうかな」
ようやく俺のかまってオーラに気がついてくれたのか子猫から離れてコーヒーを注ぎにキッチンに向かったAの後をチョコチョコとついて行って後ろからハグをする。
「どうしたの？」
そんな少し余裕そうなAにもなんだかちょっと寂しくなる。
「なんか、自分たちの子供に奥さんをとられたみたいな気分」
「ん？何言ってるの？笑」
「あの子猫に俺の彼女を取られちゃった気分なんだけど、さっそく」
「俺の彼女ってどうしちゃったのー？ウォヌらしくない」
「やっぱりあの子猫の名前変えよう」
「あの子猫って呼ぶのやめようか？」
「だって変だろ、やっぱり。自分で自分の名前呼んでるみたいで」
「もう私はそれで愛着湧いちゃってるのに？」
「なんかヤダ！」
「ふふっ、ねぇ、ウォヌやー、私の彼氏を妬かせるなんて、さてはお前は天才なのか」
そう言いながら子猫の方に行って子猫を抱き上げて俺のとこまで連れてきた。
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作者名：miwol
| 作成日時：2020年4月28日 0時
