episode31 ページ30
そうかと思えば今度は「ウォヌー？ウォヌー？」と何度も呼んでくる。
やけに今日はかまってちゃんだな。
ご飯も作り終えて出来上がった料理をテーブルに並べていく。
「もう、なんだよ」
何度も名前を呼んでくるからさすがに呆れて返事をしてみれば あっけらかんとした表情でこっちを見てきた。
「ごめん、この猫ちゃんのこと呼んだの」
たしかにウォヌって言ってたよな？何度も。
よく見ればAの膝の上にはさっきまで床でゴロゴロしていた子猫がいる。
「まさか、こいつに俺の名前つけたの？」
「うん、そのまさか」
「センスないわー」
なんでよりによって俺の名前なんだよ。
だけど、なんだか分からないけどそんなことをしているAが愛おしくて笑ってしまう。
「この子がね、ウォヌって呼ぶとニャーって鳴くの。そういう名前だったのかな」
「何真剣な顔してそんなこと言ってるんだよ笑」
「ごめんね、ウォヌ、今日からこの子もウォヌって言うからよろしくね」
「すごいややこしいな、それ。まぁ、いいや、ご飯できたぞ」
「ウォヌ、ごめんね、ちょっと待っててね」
いちいち子猫のことをウォヌって呼んでなんだか既に楽しみ始めてるんだろ。
「わぁー、おいしそう！一人暮らししてただけあってご飯は作れるんだね、やっぱり」
「久しぶりすぎて感が鈍ってたけどな」
一口食べると満面の笑顔を向けてくる。
「うん！おいしいよ！今日はご飯作ってくれてありがとね。ウォヌも仲間入りして幸せな日だなぁー」
「なぁ、やっぱり名前変えてくれない？紛らわしいんだけど。ヤオンイ(※韓国語で猫の鳴き声がヤオン＋愛称)で良くない？」
「えー、そんな適当なの？試してみる？ヤオンイー、おいで」
Aが手を叩きながらこっちにおいでと呼んでみるけどびくともしない。
「来ないよ、返事もしない」
「絶対マグレだよ。じゃぁ、もう一度俺の名前呼んでみなよ」
「ウォヌー」
「ニャー」
見事に俺の名前を呼んだだけで鳴きながら近づいてきた。
「ほらね？」
残念なことに今日からこの子もウォヌになりました。
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作者名：miwol
| 作成日時：2020年4月28日 0時
